部下との会話を「最小限の報連相」で済ませてきた40代部長が突然のキャラ変…「明るいチーム」を目指した「意外な結果」
40代の部長であるIさんがチームの業績向上に悩んでいたが、明るい言葉と表情の発信で大きな変化が現れた。
メンタルコーチの吉岡眞司氏が、明るいチームの作り方について語る。
40代以上の管理職がトップダウン型のマネジメントを取っていることが一般的だが、コミュニケーションの重要性が指摘される。
チームの業績がなかなか上がらず、悩んでいたIさん(40代・部長)。率先してプラスの言葉・表情を発信するようになったとたん、大きな変化が表れたという……。慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いたメンタルコーチで、著書に『強いチームはなぜ「明るい」のか』がある吉岡眞司氏が、リーダーが知っておきたい「明るいチーム」のつくり方を伝授する。
「スポーツチームにおいて『明るさ』が大事なのはわかりますが、会社組織でも『明るさ』は必要なのでしょうか? 毎月給料をもらっている以上、会社では黙々と仕事をするのが当たり前ではないですか?」
一定以上の年代の読者の中には、もしかしたらこのような疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
私がメンタルサポートで関わったIさんもその一人でした。
会社で部長職を務める40代のIさん。担当する部の業績がなかなか上がらずに悩んでいました。
「個々の社員がしっかり役割を自覚して働いてくれれば、目標数値は達成できるはずなのですが、なかなかこちらの思うように働いてくれなくて。いったいどうすればいいのか……」
若手社員の頃に高い業績を挙げて管理職に昇進した人の中には、「自分ができたのだから部下にできないことはない」「このくらい頑張って当然だろう」という自分のものさしで部下の仕事ぶりを評価してしまう人がいるものです。
Iさんにもそのようなスタンスがうかがえました。
「ところでIさんは普段、部下の方々とコミュニケーションはとっていますか?」
「はい、とるように心がけているつもりです」
「たとえば、どんなふうに?」
「『あの件は、どうなった?』と問いかけると、『はい、このように対応しました』と返答があったりします」
「そのとき、Iさんは部下にどんな言葉をかけるのですか?」
「いや……、『うん』と頷きます」
私自身も会社員時代に経験がありますが、Iさんのように40代、50代で管理職を務めているような人が若手の頃というのは、トップダウン型のマネジメントが主流でした。
バブルの頃は特に忙しかったこともあり、職場での会話もいわゆる「報連相(報告・連絡・相談)」を最小限で済ますことが“当たり前”でした。そのためIさんも、それが職場におけるコミュニケーションの定石だと認識していたのです。
仮に、Iさんが部下に対して、
「そうか、しっかり対応してくれてありがとう」
「スケジュールどおりに進んでいて、いい感じじゃないか」
といった言葉がけを付け加えていたら、その部下本人だけでなく、周りで仕事している社員にも「よし、頑張ろう」という前向きな気持ちが伝播したことでしょう。