新たなキャリー取引、ヘッジファンドは円よりもドルを利用-シティ

AI要約

キャリートレードが変化しており、ヘッジファンドはドルを借り入れている

利下げ観測が強まる中、ドルへのセンチメントが弱まっている

ヘッジファンドは新興国通貨を購入するためにドルを利用しており、円ポジションも強気に転じている

(ブルームバーグ): キャリートレードは復活したが、従来とは重要な違いがあると、シティグループは指摘した。ヘッジファンドは新興国市場の資産購入に向け円ではなくドルを借り入れているという。

投資家は米金融当局が年内に計0.75ポイント超の利下げを実施するとの見方を強めている。日本銀行による7月の利上げと相まって、力強い米経済成長と日本の超低金利に賭ける旧来のモデルは打撃を受けた。

シティグループのFXクオンツ投資家ソリューション担当グローバル責任者、クリスチャン・カシコフ氏は「ドルに対するセンチメントがかなり弱気に転じ始めつつあることが当行のポジション動向で見られている」と指摘。「利下げ観測が広がる環境で、リスク選好の動きが強まっている」と述べた。

これは世界的に金融市場が混乱し、キャリートレードが大きな打撃を受けた月初からの好転を示すものだ。キャリートレードでは、投資家は金利の低い通貨で資金を借り入れ、金利が高いリスク資産で運用する。

この戦略をとるヘッジファンドは、日米の金利がそれぞれ異なる方向に進むとの見通しから、資金調達通貨として円よりもドルを選んでいると、カシコフ氏は説明した。

カシコフ氏によれば、ヘッジファンドは8月5日以降、ブラジル・レアルやトルコ・リラといった新興国通貨を購入するためにドルを使っている。ドルは3月以来の安値で推移している。

2024年前半には、ドルは順調に上昇していた。積極的な米利下げの観測が後退したためだ。ブルームバーグのドル指数は1-6月に5%近く値上がり。一方、円は約40年ぶりの安値に下落した。

日銀の利上げをきっかけとする8月の急反転は、ヘッジファンドの取引を活発化させた。ヘッジファンドは通常、大規模な資産運用会社よりも迅速に動くことができる。

選好されてきた円トレードが巻き戻しを余儀なくされる中で、ヘッジファンドの円ポジションは2021年以降で初めて強気に転じた。米商品先物取引委員会(CFTC)が16日発表した13日終了週の建玉(未決済約定)報告によれば、投機筋のポジションは、円の売り越しから買い越しに転換した。