電力11社の原発安全対策6兆円超、朝日新聞調査 災害対策で高騰か

AI要約

東京電力福島第一原発事故後の原発の安全対策費が、電力11社の合計で6兆円を超えることがわかった。

対策費が割高になり、原発のコスト面での優位性が揺らいでいる状況。

再稼働原発の安全対策費が増加し、割高になるケースも見られる。

電力11社の原発安全対策6兆円超、朝日新聞調査 災害対策で高騰か

 東京電力福島第一原発事故後の原発の安全対策費が、電力11社の合計で6兆円を超えることが朝日新聞の調査でわかった。これまでより対策費が割高になるケースも出始めており、原発のコスト面での優位性は大きく揺らいでいる。

 朝日新聞は2013年から毎年、新規制基準で義務づけられた地震や津波などの安全対策費について、原発を持つ電力全11社に見積もりも含めて尋ねてきた。今年7月のアンケートの回答では中国と北海道の電力2社で前年から増額し、11社の総額は6兆1508億円だった。

 中国電は今年12月ごろの島根原発2号機(松江市)の再稼働をめざす。建設中の同3号機も原子力規制委員会で審査中で、2号機と同等の対策を見込んで精査したところ、火災対策や耐震補強の工事範囲が拡大したことなどから、前年から約2200億円増の約9千億円となった。

 北海道電は、前年から396億円増え、2618億円と回答。泊原発(北海道)の防潮堤の設置に向けて、防潮堤の材料になる岩石採取や土留め設置といった準備工事をした。

■再稼働原発は1基約2千億円、割高になるケースも

 これまでに再稼働したのは、関西、四国、九州の3電力の6原発12基。1基あたりの安全対策費を各社の回答から計算すると、設置が義務づけられているテロ対策施設も含めて2千億円程度だった。

 一方、規制委の審査に通り、これから再稼働しようとしている原発の安全対策費は割高だ。

 今年11月ごろの再稼働をめざす東北電力女川原発2号機(宮城県)は約7100億円。島根原発は単純計算で1基約3千億円で、テロ対策施設の設置費用が精査中のため、さらに膨らむのが確実だ。