令和の年金エイジの介護費用「老人ホームに入所したらひと月平均いくらかかる?」
夏休みやお盆休みに家族との再会を楽しんだシニア世代も多いことから、介護費用や資産管理についての不安が浮上している。
介護費用の平均データを通じて、在宅介護と施設介護の費用や介護期間の平均を把握し、具体的な数字が示される。
平均的な介護期間は5年程度であり、費用は在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円となっており、資金計画が重要であることが分かる。
この8月、多くの方が夏休みで旅行や帰省をされて過ごされたのではないでしょうか。シニア世代の家族と久しぶりに会うみなさんは、健康状態や認知面などの変化について少なからず気になったはず。
お盆の連休を利用して、お墓のことや介護のこと、そして避けては通れない「お金のこと」をじっくり話し合ったという人もいるでしょう。
内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、65歳以上の男女の約9割が、将来トイレなどの介護が必要になったら、介護費用を自分の資産(年金・貯蓄)から出すつもりだと回答しています。「ああ、うちの親もよくそう言っている」という人もいるのでは?
とはいえ、介護の経験がない場合、いったい介護にかかる費用がどれくらい必要なのかイメージすることが難しいですね。
親(や祖父母)の年金や貯蓄など、資産状況などを把握しきれていない場合は、「自分で払える!」と言われても、漠然とした不安を覚えるでしょう。
実際に介護にかかる費用は状態によって個人差がありますから、参考例をみつけることが難しいのは事実です。そこで今回は、介護費用に関するデータや、令和のシニア世代の年金事情をのぞいていきます。
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まずは、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護費用と介護期間の平均データを見ていきます。
●【一覧表】介護費用(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)
介護にかかるお金の平均はどのくらい?
一時的な費用の合計平均:74万円
・掛かった費用はない:15.8%
・15万円未満:18.6%
・15~25万円未満:7.7%
・25~50万円未満:10.0%
・50~100万円未満:9.5%
・100~150万円未満:7.2%
・150~200万円未満:1.5%
・200万円以上:5.6%
・不明:24.1%
介護にかかる費用(月額)
在宅介護の月額平均:4万8000円
・支払った費用はない:0.0%
・1万円未満:7.2%
・1万~2万5000円未満:22.3%
・2万5000~5万円未満:17.6%
・5万~7万5000円未満:13.3%
・7万5000円~10万円未満:2.3%
・10万~12万5000円未満:4.3%
・12万5000~15万円未満:1.2%
・15万円以上:5.8%
・不明:26.0%
施設介護の月額平均:12万2000円
・支払った費用はない
・1万円未満:0.0%
・1万~2万5000円未満:6.3%
・2万5000~5万円未満:4.7%
・5万~7万5000円未満:9.1%
・7万5000円~10万円未満:8.7%
・10万~12万5000円未満:20.9%
・12万5000~15万円未満:7.9%
・15万円以上:30.7%
・不明:11.4%
●介護期間は「平均約5年」
介護期間の平均は約5年
介護期間の内訳
・6カ月未満:3.9%
・6カ月~1年未満:6.1%
・1~2年未満:10.5%
・2~3年未満:12.3%
・3~4年未満:15.1%
・4~10年未満:31.5%
・10年以上:17.6%
・不明:3.0%
平均的な介護期間は61.1カ月、約5年ですね。この期間の、一時的な費用の合計と月々の費用を足し上げると、在宅介護の場合で約370万円、老人ホームなど施設介護の場合で約820万円です。
子ども世帯と近居または同居であれば、ちょっとした買い物や身の回りのことを家族に頼める可能性もありますね。施設介護の場合の費用は、実に個人差があるでしょう。
介護付き有料老人ホームなどの民間施設を選んだ場合、一時金の時点で数百万円が飛んでいくことも珍しくありません。
特別養護老人ホームなどの公的施設に入る場合は比較的費用が低めです。しかし入所希望者も多く、待期期間が長くなることを覚悟しておく必要もあるでしょう。