間もなく竣工「韓国イージス艦version2.0」弾道ミサイル搭載ってどう使うの? 軍&政府の意図は

AI要約

韓国海軍は2024年現在、4隻目のイージス駆逐艦「正祖大王」を建造中であり、性能向上が図られている。

新艦は北朝鮮の核ミサイルや中国の海上戦力を警戒し、弾道ミサイルや潜水艦への対処能力が強化されている。

装備面では、イージスシステムや88セルの垂直発射システムが搭載され、全方位への対処能力が向上している。

間もなく竣工「韓国イージス艦version2.0」弾道ミサイル搭載ってどう使うの? 軍&政府の意図は

 韓国海軍は2024年現在、4隻目のイージス駆逐艦を建造です。同艦の名前は「正祖大王(チョンジョデワン)」。ただ、これまで建造された3隻とは異なり、さまざまな点でアップデートされており、性能向上が図られているといいます。

 そもそも、韓国海軍としては、北朝鮮が開発を進める核兵器やミサイルの発射を警戒しつつ、海上戦力の強化が著しい中国や、竹島の領有権問題で係争中の日本と対峙せねばならず、整備や訓練のローテーションを考えた場合、イージス艦3隻体制では限界がありました。このため、弾道ミサイルの探知、追跡、迎撃が可能で、北方限界線を越えて侵入してくる潜水艦も探知でき、万が一の場合は水上艦や地上目標に対する遠距離攻撃も可能な新たなイージス艦を欲していました。

 こうした背景からKDX-III/Batch-2として建造が決まったのが「チョンジョデワン」で、2024年末までに竣工する予定です。なお、続く2番艦と3番艦も防衛事業庁が現代重工と建造契約を結んでいます。

 同艦には韓国が直面している脅威に全方位的な対処が可能な装備が施されています。満載排水量は1万455トンで、船体寸法は全長170m、全幅21m。全長と幅は海上自衛隊のまや型護衛艦と同規模です。

 イージスシステムは最新の「ベースライン9」を採用し、弾道ミサイルを迎撃できる「スタンダードSM-6」も当初より搭載します。現代重工によれば多機能位相配置レーダー、赤外線探知・追跡装備、電子光学追跡装備などにより、世宗大王級より探知・追跡能力が2倍以上強化され、統合ソナーシステムによって潜水艦探知距離は3倍以上拡大されているといいます。

 なお、海外報道によれば垂直発射システム(VLS)は計88セル。アメリカのロッキード・マーティン製Mk.41と韓国が独自開発したK-VLS-Iに加えて、ハンファ・ディフェンスなどが開発した最新型「K-VLS-II」の3種類が装備されると見られています。

 Mk.41にはアメリカ製の艦対空用ミサイルである「スタンダード」SM-2や同SM-6の搭載能力を持たせ、K-VLS-Iには国産兵器である艦対地巡航ミサイルの「海星2」、対潜ミサイルの「赤鮫」、そしてRAMを置き換える近距離対空ミサイル「海弓」を搭載するといった形になるでしょう。

 そして、新たに搭載するK-VLS-IIには、艦対地弾道ミサイル(後述)や開発中の長射程艦対空ミサイル、超音速対艦ミサイルなどの搭載を想定していると考えられます。K-VLS-IIは大型ミサイルを搭載するため、1セル当たりのスペースが広くなった一方、世宗大王級に比べて船体は大きくなったもののVLSセルの総数は少なくなった可能性があります。

 ちなみに、近接火力システム(CIWS)は世宗大王級に装備されたゴールキーパーから、20mmファランクス2基に改められました。対艦ミサイル(SSM)「海星」の発射筒は4連装2基です。

 対潜戦では、独自開発した先進統合ソナーシステムを搭載し、敵潜水艦や魚雷などの水中脅威に対する探知能力が大幅に向上し、長距離対潜魚雷と軽魚雷によって潜水艦への攻撃を行います。さらに2024年から導入されるヘリコプター、MH-60R「シーホーク」が搭載でき、これらを組み合わせて対潜水艦作戦を行います。