主要企業の5割が「原発活用を」 電力安定供給と脱炭素両立に不可欠 109社アンケート

AI要約

人工知能向けデータセンターの増加に伴い、電力需要が拡大する中、半数以上の主要企業が原発を安定電源として活用すべきだと考えている。

企業アンケートでは、既設の原発の活用や次世代炉の開発を推進すべきだとの意見が約半数を占める一方、原発を代替するべきとの意見は少数派である。

政府の方針転換やエネルギー基本計画の見直しを受けて、安価かつ安定的な電力供給の重要性が強調されている。

主要企業の5割が「原発活用を」 電力安定供給と脱炭素両立に不可欠 109社アンケート

人工知能(AI)向けデータセンターの増加で電力需要の拡大が見込まれる中、主要企業109社の約半数が原発を安定電源として活用すべきだと考えていることが16日、産経新聞の企業アンケートで分かった。エネルギーの安定供給確保は日本経済の成長を左右する。同時に世界的な流れの脱炭素化も加速する必要があり、多くの企業が原発は不可欠とみていることが明らかになった。

アンケートは7月10~30日に実施し、109社から回答を得た。

電力需要の増加が見込まれる中での原発活用に関する考えを尋ねると、「既設の原発をより活用すべきだ」と再稼働を求める回答が27・5%に上った。22・0%は「次世代炉や小型炉の開発を進めるべきだ」と答え、計約5割が原発活用に前向きな考えを示した。

一方で「原発は廃炉にして、別のエネルギー源で代替すべきだ」との答えは0・9%、「原発のさらなる活用はやめるべきだ」は1・8%だった。47・7%は無回答で意思表示を避けた。

政府は令和4年に原発を最大限活用する方針に転換した。企業からは「安価で安定的な電力供給は日本の産業の国際競争力の維持・強化に重要。脱炭素にも取り組む必要がある」(建設業)などと政府の考えを後押しする声が上がった。一方で、「慎重に議論を進めるべきだ」(製造業)と訴える企業もあった。

政府は今年度内をめどに中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」を見直し、原発や再生可能エネルギーなどの新たな電源構成の目標を示す。

アンケートでは原発の比率をどう設定すべきかも尋ね、12・8%が「現行計画(20~22%)より引き上げるべきだ」と答えた。29・4%は「現行計画程度とすべきだ」とし、計約4割が原発の重要性に理解を示す形となった。「現行計画より引き下げるべきだ」と答えたのは2・8%だった。

再エネについては、46・8%が「現行計画(36~38%)より引き上げるべきだ」と回答した。(中村智隆)