アパートから速やかに退去してほしい…築古アパートを建替えたい大家が「スムーズな立退き」のために考慮すべき3ポイント【弁護士が解説】

AI要約

アパート建替えにおける立退き問題について、大家と賃借人のコミュニケーションの重要性が強調されている。

大家が無計画に立退き要求をすることがトラブルの原因になる場合が多い。

賃借人とのコミュニケーションを大事にし、建物の老朽化に伴う建て替え計画を十分に説明しておくことが重要。

アパートから速やかに退去してほしい…築古アパートを建替えたい大家が「スムーズな立退き」のために考慮すべき3ポイント【弁護士が解説】

築古のアパートを建替えたいが、賃借人が退去してくれず頭を抱える大家さんは多いもの。かといって、相手を思い通りに動かそうと強硬な態度をとれば、問題はこじれてしまいます。どのように動くのが正解なのでしょうか。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。

不動産の問題を多く扱う筆者の事務所では、「立退き」についての相談も多く寄せられています。圧倒的に多いのは大家側の相談がですが、ときには賃借人側からの相談が寄せられることもあります。

賃借人の方の相談内容のほとんどは「大家から一方的な立退き要求をされて困っている、腹を立てている」というもので、具体的には、

「突然〈この日までに出て行ってください〉といわれて納得できない」

「こちらも仕事や生活の都合がある以上、急な立退きの要求には対応できかねる」

といった内容です。

いきなり大家から「立退け!」と高圧的に言われれば、賃借人のほうも「急に立退けるか!」といった、攻撃的な反応になるでしょう。

やはりこれは、大家側の対応に問題があるのではないかと思われます。

ではなぜ、大家側が突然立退きを迫るような事態になるのでしょうか?

それは、建物の老朽化に伴う建て替えの立退き要求を、大家側が無計画に行うことが原因です。

「そろそろ建て替え時だな」と考え始めた時点で、更新の時期に「この建物も古くなってきたから、次の更新までに退去してもらえないか、検討しておいてほしい」などと伝え、長いスパンで賃借人とコミュニケーションしておくことが重要なのです。

賃借人と大家との間に管理会社が間に入っていることも多いですが、その場合は管理会社に「近いうちに建て替えを検討したいので、退去についてそろそろ伝えておいてもらえますか?」と依頼すればいいでしょう。

このように、きちんと順序を踏めばいいのですが、多くの場合、不動産会社から建て替えの営業を受けた大家がその気になり、いきなり計画を強行しようとすることがトラブルの原因となっているケースがほとんどなのです。

賃貸契約に関する現在の法律は、賃借人側が有利になっているのは事実ですが、それでも、毎日暮らしている部屋からいきなり出るように言われては、賃借人としても困惑してしまいます。