赤いケンメリGT-R【後編】わずか7台しか販売されなかった赤色ボディ
ケンメリことKPCG110スカイラインGT-Rはわずか4カ月しか販売されなかった車種で、生産台数は195台で試作車両を含めると197台。
赤、ホワイト、シルバーの3色が設定され、赤色は7台のみで、ボディカラーに関する資料は限られている。
日産ヘリテージコレクション所蔵の赤色ケンメリGT-Rは貴重な存在であり、赤色のイメージを強化している。
【ハコスカとケンメリ|1973年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R 後編】
【前編】から続く
時代に翻弄され、わずか4カ月しか販売されなかったケンメリことKPCG110スカイラインGT-R。
当サイトおよび雑誌「ノスタルジックヒーロー」では、これまでケンメリGT-Rの生産台数を197台と記載してきた。
詳細は、販売された台数が195台で、レーシングモデルを含めた試作車両の2台を入れて197台という計算だが、日産自動車の公式発表では200台弱とされ、197という文字はない。
ケンメリGT-Rのボディカラーは3色が設定され、もっとも多いのがホワイトで約130台、次がシルバーで約70台。
赤はもっとも少なく、7台というのが定説だ。
当時のケンメリのカタログには、イメージカラーのブルーメタリックやホワイト、シルバー、ディープグリーンというボディカラーの写真は掲載されているが、赤はなく、前期の「ハードトップ1600・1800」のカタログにあるのみ。
しかも「ボディカラーはオーダーメイド色です」と記されていることから、標準色ではない。
また、GT-Rのカタログにボディカラーの記載はなく、掲載されている写真はシルバー色の車両のみとなっている。
今回紹介する車両は日産自動車が所有する、旧車好きな皆さんにはおなじみの日産ヘリテージコレクション所蔵車両。
製作された7台の赤色ケンメリGT-Rのうちの1台である。
グリルやオーバーフェンダーなどあとから修復した部分も多いが、ボディカラーは一度も塗り直されたことのない、実際に生産された赤色のままだ。
写真では朱色に近いように見えているかもしれないが、肉眼で見た印象は深い赤色で、大きなキズもなくキレイな状態を保っている。このクルマが存在することで、赤色のケンメリGT-Rのイメージが強くなり、心に残ることになったとも言える。
このケンメリをはじめ、日産ヘリテージコレクションに並べられている車両は見学することが可能。ぜひケンメリの赤色を味わってきてほしい。
初出:ノスタルジックヒーロー 2021年2月号 Vol.203
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)