プッチンプリンなどの出荷停止 グリコ、全面再開見通せず 原因「突き止め改善中」

AI要約

江崎グリコが令和6年6月中間連結決算の記者会見で、プッチンプリンなどのチルド食品の出荷再開が難航している状況や、システム障害の影響で純利益が減少したことが報告された。

出荷再開が進んでいるものの、トラック配送などの物流対応力不足により完全復旧は困難で、再開日は変更の可能性があると述べられた。

システム障害の原因や対策については具体的な言及を避けており、影響を受けた製品や費用の増加などが明らかにされている。

江崎グリコが14日に大阪市内で開いた令和6年6月中間連結決算の記者会見で、高橋真一常務執行役員ファイナンス部長は、4月に発生した基幹システム障害で出荷停止が長引いているプッチンプリンなどのチルド食品について、「どの時点で100%(出荷を再開)ということは(回答を)差し控える」とし、全面復旧の見通しを示さなかった。

出荷を止めたチルド品のうち売り上げベースで約8割が再開済み。「Bigプッチンプリン(160g)」は13日以降に出荷再開すると発表した。出荷再開後の大量発注に対し、トラック配送などによる物流の対応力が不足しているため、100%は再開できていない。

再開日を定めても「変更が出る可能性が非常にあり、(日程を決めず)順次再開という形で進めたい」と強調。売り場の棚が他社に奪われるケースも出ており、「対策を練って元に戻すことに注力したい」とした。

システム障害の原因については「突き止めて改善している」としたが、具体的な言及は避け、対策を終えた時点で「何が足りなかったか、どうすべきだったか総括したい」と述べるにとどめた。

出荷停止のきっかけとなったのは4月3日、調達や出荷、会計などの業務を一元管理する独SAP社「SAP S/4HANA」へ基幹システムを切り替えたこと。

約340億円を投じ数年かけ進めてきたが、切り替え直後に物流センターの実際の在庫とシステム上の在庫が合わない不具合が出たため、出荷を止め、原因の究明を始めた。

影響は「カフェオーレ」「プッチンプリン」などチルド品17ブランドと、キリンビバレッジから一部販売を受託する飲料にも拡大。復旧作業は難航し、5月中旬の再開とした当初の見通しを何度も延期した。

令和6年6月中間連結決算は、システム障害の影響で乳業の減収や、商品廃棄などの費用が生じたことから、純利益が前年同期比53・1%減の36億円。売上高は海外事業の好調などが下支えし、0・6%増の1540億円だった。(田村慶子)