中国の銀行融資、実体経済向け19年ぶり縮小-深刻な需要低迷を示唆

AI要約

中国の実体経済に暗い兆しが現れた。中国銀行の融資が19年ぶりに縮小し、個人や企業の債務返済が早まっている。

融資需要が低調で、借り入れ残高や新規借入額が減少。社会融資規模や新規融資の伸びも予想を下回る結果となっている。

中国政府は日本のデフレを避けるために、今後さらなる政策措置を打つ必要があるとの見方が出ている。

(ブルームバーグ): 実体経済への中国の銀行融資が19年ぶりに縮小した。デフレ悪化や成長減速につながりかねない暗い兆しだ。

中国人民銀行(中央銀行)が13日公表したデータによると、7月末時点の人民元建て銀行融資残高(金融機関向けを除く)は前月比で770億元(約1兆6000億円)減少した。減少は2005年7月以来。貸し出した額よりも返済された額の方が多かった。

中国の個人や企業は債務返済を急いでいる。投資リターンが低下し、名目金利に物価下落の影響を加味した実質金利が高水準に上っていることが背景にある。これは日本が数十年にわたるデフレに陥った主要な要因の一つだとエコノミストの多くが指摘する傾向で、中国の政策担当者は日本の二の舞を避けようと懸命だ。

ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「かなり弱い報告で、個人・法人問わず全体的に融資需要が極めて低調であることを示唆している」と指摘。「近く回復する公算が極めて小さいことを示唆しており、政府が今年の目標を確実に達成するにはさらなる措置を打ち出す必要がある」と述べた。

非金融企業の7月の新規借入額は1520億元にとどまり、19年10月以来の少なさだった。一方、個人向け融資残高は短期借入金や住宅ローンの返済が進んだことで、純減となった。

他の主要指標も、7月の融資の伸びが予想を下回ったことを示している。ブルームバーグの試算によると、経済全体のファイナンス規模を示す社会融資規模は前月比で7710億元増加。エコノミストの予想中央値は1兆元増だった。金融機関による借り入れも含む新規融資は2680億元と、4270億元の予想に届かなかった。

原題:China’s Bank Loan Gauge Contracts for First Time in 19 Years(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.