急激な円高に伴う株の投げ売り、今後も続く=ゴールドマン

AI要約

ゴールドマン・サックスのストラテジストが報告した、ヘッジファンドなどによるシステマティック・トレーディング戦略による株式先物への売り圧が続いていること。

この売り圧は秋まで続く見込みであり、9月後半にはさらなる取引の厳しさが予想されていること。

ヘッジファンドのレバレッジも最高水準にあり、トレーダーによる大量の株式先物の売却や年金基金によるポートフォリオのリバランスが影響を与えていること。

急激な円高に伴う株の投げ売り、今後も続く=ゴールドマン

Nell Mackenzie

[ロンドン 13日 ロイター] - ゴールドマン・サックスのストラテジスト、スコット・ルブナー氏は12日付のリポートで、ヘッジファンドなどの「システマティック・トレーディング戦略」による投げ売りが続いており、過去1カ月で世界の株式先物に約1090億ドルの売りが出たと指摘した。

こうした売りは秋まで続く可能性が高く、9月後半が「やっかいな取引環境」になる可能性があるとしている。

システマティック・トレーディング戦略では、人間の直感ではなく、厳密なルールを基づいて取引を行う。

ルブナー氏は、円などの通貨ポジションの解消に伴う今月の株式市場のメルトダウンについて、商品投資顧問(CTA)のシステマティック・トレーディング戦略が一因だと指摘。こうした戦略では、リスクが一定の閾値を超えると、強制的に売りを出す仕組みになっている。

同氏は「CTA戦略によるシステマティックなルールに基づくレバレッジ解消が、引き続き最も重要な影響を及ぼしている。私が見た巻き戻しの中で最大級・最速のものの1つをわれわれは目撃した」と述べた。  

オフィス・オブ・ファイナンシャル・リサーチのヘッジファンド・モニターが提供したデータによると、ヘッジファンドのレバレッジは現在、過去10年で最高水準にある。

米国籍のヘッジファンドがプライムブローカーから借り入れた資金は3月末時点で2兆3000億ドルと、2019年12月から約63%増加。資産の増加ペースを上回ったという。

ゴールドマンによると、トレーダーは過去1週間で大量の株式先物を売却。売却額は800億ドル前後に達した。

年金基金は例年9月にポートフォリオのリバランスを行うが、今回は株式へのエクスポージャーを「さらに売る」見通しという。