《妻に先立たれて10年》ダンカンさんが告白する今の心境 衣類や持ち物は全く処分せず「これからも妻と一緒に生きていく」

AI要約

妻を亡くしたダンカンが、10年経っても彼女の死を受け入れられずにいることを語る。

彼は妻の遺品や思い出を大切にし続け、まるで一緒に生活しているかのように振る舞っている。

妻を忘れないでいる人たちとの交流を大事にし、これからも妻と共に生きていくと誓っている。

《妻に先立たれて10年》ダンカンさんが告白する今の心境 衣類や持ち物は全く処分せず「これからも妻と一緒に生きていく」

 長年連れ添った妻を亡くした男性は、その後の人生をどう生きるのか。孤独な日々は「時間が解決する」とよく言われるが、そうでない人もいる。妻に先立たれた著名人は、最愛の人の死をどう受け止めているのか。たけし軍団の一員でタレントのダンカンさん(65)が、切実な思いを明かした。

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 今年の6月で妻の初美(享年47)を乳がんで亡くして10年経ちました。ですがひと区切りついたということはなく、まだ彼女はどこかに出かけているだけなんだという気持ちがあって、死を認めることができない自分がいます。

 2021年に亡くなった作家の瀬戸内寂聴さんは、「すべてを解決するのは年月です」と仰っていましたが、個人的には年月の問題ではないと感じます。

 妻が残した衣類や持ち物はいまも自宅にそのままの状態で、彼女が使っていたコップや病で倒れた時に床に敷いていた絨毯もすべて残してあります。

 クローゼットを開けることはほとんどありませんが、たまに見ると妻がその服を着ている姿を思い浮かべてしまい、数百着ある洋服を1つも捨てられない。

 2人で「これにしよう」と選んだ愛車のパジェロはすでに15万km近く走って維持費もバカになりませんが、新車に買い替えようとはまったく思いません。

 要は、まだ妻と一緒に生活していると思っているんですね。彼女の思い出が詰まった遺品をいつかは処分することになるのでしょうが、せめて自分が生きているうちは妻の生きた足跡を残しておきたい。

 妻は“相撲部屋の女将”のような存在で、僕が芸人仲間を自宅に連れてくると食事の席を仕切ってくれたり、人づきあいが上手でした。でも妻が亡くなってから僕は人づきあいをほとんどしなくなった。仕事仲間と飲みに行くことはありますが、その他の交流は避けがちです。

 妻に先立たれ、以前の人間関係を無理に維持することをやめました。ひとりになって、本当に大切な人が見えてきたというか。そうした人とのつきあい以外は必要ないと割り切ったら、気持ちが楽になりました。

 数少ない、いまも交友がある人は、妻を忘れないでいてくれる人ですね。妻の命日に来てくれたり、お花を送ってくれたり、そういう人とのつきあいは大事にしています。

 先日も10回忌に妻の友人が線香をあげに来て、妻の遺影を見て「初美ちゃんはキレイなままね」と言ってくれました。子供たちが入っていた野球チームの父母さんも妻を偲ぶ「はっちゃん会」という集まりを開いてくれます。

 無理をせず、これからも妻と一緒に生きていくつもりです。

【プロフィール】

ダンカン/1959年生まれ。お笑いタレント。たけし軍団の一員となり、現在芸能事務所TAPの専務取締役。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号