堀江貴文「日本は宇宙産業で世界トップになれる」 もとからある日本の優位性をもって世界と戦える
東京大学卒業後に起業した堀江貴文氏が、インターネットの民主化を経験し、その過程を振り返る。Linuxの登場により誰もがサーバーを構築できる時代が到来し、IT事業に参入する人が増加。民主化が産業のスケールにつながることを強調。
日本の宇宙産業にも民主化の波が訪れる可能性があると指摘。イーロン・マスクらの成功例から、宇宙ビジネスが発展する可能性があることを示唆。
インターネットの民主化がどのように産業に影響を与えたか、日本が宇宙産業で世界をリードするためにはどのようなアプローチが必要かを考える材料となる。
近年、イーロン・マスク率いる「スペースX」による宇宙ビジネスや、日本でも民間企業による宇宙産業への参入が話題となっています。宇宙ビジネスにおいて、日本の勝機はあるのでしょうか? 日本は宇宙産業で世界をリードできるという堀江貴文氏の主張について、同氏の新著『ホリエモンのニッポン改造論』よりご紹介します。
■これからは「宇宙の民主化」が加速する
私はインターネットの民主化の過程を、つぶさに体験している。それは宇宙の民主化の洞察を深めることにもつながると思うので、ここでは、まずインターネットがいかに民主化してきたかについて話しておきたい。
私は、東京大学在学中の1996年、ホームページ制作などを手がける会社「オン・ザ・エッヂ」を起業した。ちょうど、Linux(オープンソースのコンピュータOS)が出てきた時期だった。
ちなみにLinuxの生みの親、リーナス・トーバルズは私と同じ世代だ。このLinuxのおかげで、Netscapeを作ったマーク・アンドリーセン、イーロン・マスク、Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンなどの起業家が誕生した。
私が起業した動機は、「Linuxって、パソコンでできるじゃん」と思ったことにある。あるフィンランド人が、Linuxのマイクロカーネル(OSの中核部分の設計様式)を1人で作ったと知ったからだ。それで起業することにした。
後講釈になるが、これがインターネットの民主化が起きた瞬間だった。
つまり、LinuxというBSP(ボードサポートパッケージ)やオープンソースのOSのおかげで、誰でもパソコンでサーバーを作れるようになった。しかも、ライセンスフリーで、OSツールもタダで、である。パソコンを組み立てればサーバーを構築できる。
以前はサーバー1台につき100万円は下らなかったから、個人がWebサービスを立ち上げるのは難しかった。それがLinuxによって心臓部のソフトウェアがオープンソース化され、みんながタダで使えるようになったことで、従来あった障壁が取り払われた。これこそ民主化である。
このインターネットの民主化により、IT事業に参入する人が増えた。Linuxがなければ、GoogleもAmazonもなかっただろう。
私は、「民主化できない領域は産業としてスケールしない」と思っている。