2024年7月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は52件 2カ月ぶりの50件超えで高止まりが続く

AI要約

2024年7月のゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、52件で前年同月を下回るものの、2カ月連続で50件を超えた。特に卸売業や製造業で倒産が増加しており、資金繰り支援策の副作用が浮き彫りになっている。

政府支援策の終了や金融機関の貸出金利引き上げが倒産にどのような影響を与えるかが注目される状況であり、企業の資金繰りと業績が重要視されている。

倒産件数は減少傾向にあるものの、負債総額は100億円を超えるなど、金融面での影響が依然として顕著である。

2024年7月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は52件 2カ月ぶりの50件超えで高止まりが続く

 2024年7月のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を利用した企業の倒産は、52件(前年同月比14.7%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。ただ、前月(47件)から5件増加し、2カ月ぶりに50件を超え、高止まりの様子をみせている。ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、初めて発生した2020年7月からの累計が1,599件に達した。

 産業別では、最多が卸売業の12件(前年同月比71.4%増)で、2022年4月以来、27カ月ぶりに最多となった。次いで、建設業11件、製造業9件が続く。

 業種中分類別は、「職別工事業」と「設備工事業」、「食料品製造業」が各4件で最多だった。下請け色が濃く、物価高や人件費が高騰するなかで価格転嫁しにくいことが共通する。このほか、卸売業としては、農薬販売や農業資材販売を含む「その他の卸売業」や「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」、「機械器具卸売業」が各3件で続く。

 ゼロゼロ融資などの資金繰り支援策は、コロナ禍で苦境に立たされた企業の延命に繋がった。ただ、その副作用の過剰債務を抱えた企業は、コロナ禍を経た売上回復局面で新たな資金需要への対応が難しい。さらに、コスト増に応じた価格転嫁が進まず収益の下押し圧力となり、ゼロゼロ融資の返済原資の確保に苦慮する企業が多いことを示している。

 政府は、民間ゼロゼロ融資の返済開始が今年4月に最後のピークを迎え、コロナ支援を6月末に終了した。一方、日本公庫等の政府系金融機関によるコロナ資本性劣後ローンやコロナ特別貸付を12月末まで延長した。こうした支援策が倒産の抑制、もしくは先送りになるか注目される。

 7月末、日銀が政策金利引き上げを決定した。また、8月5日、6日には為替の急変動だけでなく、株価が乱高下した。今後、金融機関の企業向け貸出金利の引き上げも予想されるが、過剰債務を抱える中小企業にとっては資金繰りと業績への影響にも目が離せない段階にきている。

※本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。

 2024年7月の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は52件(前年同月比14.7%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。しかし、前月(47件)より5件増加し、2カ月ぶりに50件を超えた。

 負債総額は105億5,000万円(前年同月比13.8%減)で、2カ月連続で前年同月を下回ったものの、2カ月ぶりに100億円を超えた。