なぜか人事評価5段階で3の社員へのクレームが多い…弁護士橋本徹が教える評価1~2社員を適切に撃退する法

AI要約

自己中心タイプの人間を扱う際には、組織や社会の軸を意識する必要がある。

自分の基準と組織の基準が異なる場合は、客観的な評価を求めることが重要。

自己中心的な人物に対処する際には、一人で対応せずに仲間を集めることが効果的。

■【グループ 他人を尊重できない】自己中心タイプ

 社会生活で重要な「3つの軸」

 たいていの仕事はチームで進めるものです。その中に、成功したらすぐ自分の手柄にしようとする人や、まわりのサポートを一切しない自己中心的な人がいると、まわりはいい迷惑。

 ただし、そのような人を排除しようとすぐに動くのは危険です。その人が本当に自己中心的なのかを確認してから動かないと、かえって自分が組織から弾かれるおそれがあります。

 自分が上司や同僚、部下に下す評価と、組織がその人に下す評価は、必ずしも一致しません。

 僕が首長を務めた大阪府庁には約1万人、大阪市役所には約3万6000人の行政職員がいました。僕はその両方で職員に対して「何かあったら僕に直接メールを送っていい」と、オープンな環境をつくりました。実際、職員からは山のようにメールが届きました。

 その中で多かったのが、他の職員についてのクレームです。ただ、よく読んでみると、組織の人事評価で5段階中3くらいの人を指して、「あの上司は自己中心的だ」と文句を言っているケースが多かった。同僚に文句を言う職員の多くは、相手のことを人事評価が1~2の程度の低い職員だと過小評価しており、組織が付与する評価との乖離が大きいのです。

 僕は常々、「自分軸」が大切だと言っています。ただ、それは自分の内面の話です。逆風が吹く中でファイティングスピリッツを失わないようにするために、自分軸を持つのです。一方、まわりの人とコミュニケーションを取るときは、「社会の軸」「組織の軸」を意識すべきです。社内における他者への評価も同じで、自分軸による評価ではなく、組織の軸による評価をもとに対応を考える必要があります。

 自分の基準で自己中心的だと思った相手が組織の基準で平均以上なら、気にしたり腹を立てたりしても無駄。そもそも人間性に多少の難があっても、仕事ができれば問題ないというのが僕の考えです。

 厄介なのは組織の人事評価で1~2のケース。自分軸でも組織の軸でも低評価な人に対しては、チームで円滑に仕事を進めるための対策が必要です。

 自分が上司の立場で、自己中心的な部下がいるならば、強権的なパワハラ的指導は絶対にやめて、人事権、指導権を適切に行使すべきです。いきなり降格させると独裁者だと思われるので、あくまで組織の評価基準をもとに何度か指導を重ねて、それでも改善が見られなければ人事権を行使するというプロセスを踏んでください。

 相手が上司や同僚の場合は、指導や人事権の行使ができません。上司の上司に掛け合うのも手ですが、日本の企業でそこまで風通しがいい組織は少数派。人事部に掛け合って、組織的に対処してもらったほうがいいと思います。

 気をつけたいのは一人で動かないこと。組織評価の基準で1~2の自己中上司がいても、一人で人事部に駆け込むと主観的な評価だと判断されます。客観性を持たせるには、同じ立場にいる人を複数集めて、証言や証拠を固めることが大切。複数の声が集まれば、人事部も無視できません。自己中心的な人は他のメンバーにも迷惑をかけている可能性が大。まずは一緒に動く仲間を集めましょう。(橋下)

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単独で戦うのは危険! まずは仲間を集めるといい

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