「がまんのこころ」はいつ育つ? こどもが我慢できるようになるために、大切にしたいこと

AI要約

子どもは自己主張の力を先に発達させ、自己抑制を身につけることで成長していく。

自己主張と自己抑制をバランスよく育むことで、子どもは柔軟な行動ができるようになる。

子どもが自分を大切にされていると感じることで、他者を尊重し、がまんすることもできる。

「がまんのこころ」はいつ育つ? こどもが我慢できるようになるために、大切にしたいこと

【発達心理学からみた赤ちゃんの成長】子どものこころの発達はさまざまな事柄が関係しあい、枝葉のように広がって進んでいくものです。たくさんの枝葉を支える太い幹と根っこが育つには、長い時間が必要です。子どもも親も試行錯誤して、失敗と修復を繰り返しながら、育っていきます。保護者や保育者向けに、就学前までの子どもの発達や対応の具体例をわかりやすく解説した『子どものこころの発達がよくわかる本』から一部を抜粋してお届けします。

前編記事<子どものウソにも種類がある。子どもがウソをついた時、親はどうするのが正解なのか>

子どもは自己主張の力を先に発達させます。自己主張が強く現れる時期を経て、言葉で自分の気持ちを説明できるようになるにつれ、相手や状況に応じて、自己抑制をする=がまんすることが徐々にできるようになってきます。

自己主張しても自分の要求が必ずしも全部かなうわけではないこと、人には人の気持ちがあること、世の中にはルールがあることに気づきはじめるからです。

自己抑制は3~6歳ごろに顕著に発達します。特に保育園や幼稚園など、多くの子どもと一緒にすごすことで、子どもはがまんやルールを学んでいきます。

■自己主張のあとに自己抑制が育つ

自己主張と自己抑制では、自己主張のほうが先に発達します。自己抑制は、しつけや友だちとのかかわりなどを経験し、あとから身についてきます。

・2歳ごろから発達 自己主張

「ボールであそびたい」「おやつが食べたい」など、自分の気持ちを相手に伝えたり、表現したりすること

・3歳ごろからゆっくりと発達 自己抑制

相手や状況に応じて自分の行動を抑えること(順番やルールを守る、感情を爆発させないなど)

友だちに遊具の順番をゆずる、言いつけやルールを守るなどして、自分の感情を無理に押し通すことが減ってきます。こうした自己抑制ができるようになるのは成長のあかしです。しかし、無理やりがまんを強いることは逆効果になる場合もあります。自己主張をはねのけ、いつも高圧的に接していると、子どもは言うことを聞かなくなったり、自分の気持ちを表そうとしなくなったりします。

要求がとおらなかったとしても、自分の主張に耳を傾けてもらうことで、子どもは「自分の思いをわかってもらえた」という安心感をもつことができます。自分の思い

を大事にしてもらった、という実感は「他者の思いを大事にしよう」という気持ちにつながります。

自己主張と自己抑制の両方をバランスよく育むことで、子どもは自分の行動の舵取りを柔軟にできるようになっていきます。

■自分が大切にされていると思えるから、人も大切にできる

がまんを無理強いするのは逆効果。子どもは自分が大切にされていると思えるからこそ、相手を尊重するこころも育つのです。

自分が大切にされていると、感じられる→同じように、他者を大切にしてあげようと

思える→がまんすることができる