子のない資産家伯母の相続人は、きょうだい+甥姪の総勢10名…目をかけられた姪1人、養子縁組の申し出に歓喜も、相続対策の「恐ろしい落とし穴」に危機一髪

AI要約

40代の山田さんが、高齢の伯母の相続について悩んでいる。伯母は資産家であり、遺産は2億円以上に上る。

伯母は子供がおらず、相続人はきょうだいであり、10人に及ぶ。山田さんもその中に含まれる。

山田さんの母親が亡くなり、伯母の財産管理をしていたため、伯母は山田さんに養子縁組を持ちかけてきた。

子のない資産家伯母の相続人は、きょうだい+甥姪の総勢10名…目をかけられた姪1人、養子縁組の申し出に歓喜も、相続対策の「恐ろしい落とし穴」に危機一髪

「おひとりさま」となった資産家の高齢の伯母から、養子縁組を持ち掛けられたある女性。ありがたく受けようと思いましたが、そこには思ってもみなかった「相続の落とし穴」がありました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、について解説します。

今回の相談者は、40代の山田さんです。母親の姉にあたる伯母の相続について悩んでいるとのことで、筆者の事務所を訪れました。

「高齢の子どものない伯母にかわいがってもらっているのですが、相続の件で、伯母からの提案に迷っています」

山田さんの伯母は、10年前に夫に先立たれてからずっと、ひとり暮らしをしていました。しかし90歳を過ぎ、自宅での生活が大変になったため、つい最近、老人ホームに入所しました。伯母には子どもがなく、亡くなった際の相続人は伯母のきょうだいです。

伯母は6人きょうだいの長子の長女で、長男、二男、二女、三男、三女の5人が続きますが、健在なのは二男だけで、ほかのきょうだいは亡くなっています。山田さんの亡き母親は末っ子の三女です。

山田さんの母親は伯母とひと回り以上の年齢差がありますが、伯母は山田さんの母親をとてもかわいがっており、交流も頻繁でした。そのため、山田さんも伯母と非常に親しくしています。

「伯母はとてもいい人なのですが、少し変わり者というか、気難しいところがありまして…。ほかの伯父伯母や、いとこたちとはいい関係ではありませんでした。そのため一層、高齢になってからは私の母を頼って、預金の管理まで任せていたのです。しかし、いちばん年下だった母が心筋梗塞で急死してしまいまして…」

山田さんの伯母は横浜の資産家に嫁いでおり、5年前に夫を亡くしたときには、公正証書遺言で全財産を相続しています。

伯母の財産は、自宅のほか、賃貸している区分マンションが4部屋、その他金融資産等で総額は2億円を軽く超えています。

伯母の相続人ですが、きょうだいとして存命なのは二男だけであり、亡くなったほかのきょうだいは、それぞれの子どもたちが代襲相続人です。法定相続人は長男の子3人、二男、二女の子2人、三男の子3人、三女の子1人(山田さん)で、合計10人です。