「公園の草」「水浸しの段ボール」で飢えをしのぐ…ホームレス中学生のエグすぎる食生活

AI要約

『ホームレス中学生』(田村裕 著)が17年ぶりに新装版として再登場し、相方の川島明さんも感動のコメントを寄せている。

書店員からは、田村さんの逆境を能天気さと笑いで吹き飛ばす姿勢に感動する声が多数寄せられており、未読者にも再読を勧める声もある。

記事では『ホームレス中学生』の一場面が特別公開され、主人公がお金を探し歩く中での逸話が描かれている。

「公園の草」「水浸しの段ボール」で飢えをしのぐ…ホームレス中学生のエグすぎる食生活

『ホームレス中学生』(田村裕 著)が17年ぶりに新装版となって戻ってきた。

相方である川島明さんも、「初めて読んだ時より笑った。初めて読んだ時よりちょっと泣いた。田村、やっぱりこれめちゃくちゃええ本やな」とコメントを寄せている。

そして、何よりもアツいのが書店員の声だ。

「今の時代にあらためて読んだら、衝撃がでかすぎた。田村さんのちょっとつたなくて子どもみたいな文章が、刺さる、刺さる。ありえないくらいの逆境を、能天気さと笑いで吹っ飛ばして、ぜんぶを許して。ほんとうにすごい人だ。生き延びろ、という叫びが、本から聞こえてくる」(TSUTAYA中万々店 山中由貴さん)

「田村裕さんのいつも感謝を忘れない姿勢。どんな困難でも、向こう側にある希望を信じて進む姿。未読の方はもちろん、今の時代にこそ"もう一度"手に取って読んでほしい!!」(TSUTAYA三軒茶屋店 豊田さん)

「悩みはすぐに吐き出せ。 絶対に君を救う人がこの世界にいるから。ってメッセージは色褪せない」(喜久屋書店 松戸店 松本 大さん)

今回は、「ホームレス中学生」の第三話を特別公開。田村少年の所持金が底をつき、「食べるものがない…」という状況に追い込まれる話だ。

【空腹の果てに……】

次の日は暑さではなく、空腹により目が覚めた。成長期の腹の虫は余程暴れたらしく、胃がヒリヒリと痛かった。お金が無いことにはどうにもならないので、お金を探し歩いた。

幸運にも、公園からすぐ近くの自動販売機の下で500円玉を見つけた。とても感動的な出会いだ。物凄い衝撃が頭からつま先まで走り抜けた。煌々と光り輝いて見えた。その眩しさに目をくらませつつ手を伸ばした。

すぐにスーパーに走り感動的な出会いとは裏腹に、共にした時間の短さに儚さを感じつつも500円玉に別れを告げた。

これで腹の虫の機嫌を取ることができた。

その一食で500円を使い切ってしまったので、その日はそのままお金探しを続けた。

さっきの500円がすぐに見つかったので、結構簡単に小銭を拾い続けて生活できるのではないかと思ったが、その甘い考えはすぐに払拭された。

かなりの数の自動販売機の下を見て回った。

最初は恥ずかしかったけれど、どんなに奥の小銭も見逃してはならない、見つけなければまた胃がキリキリと痛むと思うとだんだん必死になり、次第に恥ずかしさは無くなった。その探す姿はもはや見るでも覗き込むでもなく、潜るという表現が一番近かった。

細かった僕の上半身は丸々、自動販売機の下に入っていた。そこまでして1円と10円を数枚拾ったものの、ごはんにあり付けるほどの額には至らなかった。

夜になると辺りは暗くなり、自動販売機の表面は明るいけれど、潜ってみても奥は真っ暗でこれ以上のダイビングは困難となった。

しかし、それとは逆にお腹のほうは順調に減っていき、探すのを諦めた頃には限界に達していた。そのまま寝ようとしたけど、腹の虫は全くその気が無くて暴れまくっている。