体操男子個人総合新王者の岡慎之助 異例の歩みも「五輪への道」信じ

AI要約

岡が体操男子個人総合で優勝し、頂点に立った瞬間にガッツポーズを見せた。彼は目標を達成し、団体総合との2冠を達成した。父にちなんで名付けられた逸材で、地道な努力を続けてきた。

岡は異例の経歴を持ち、高校を途中で離れて社会人の強豪チームに移籍。ケガや成長痛にも耐え、五輪を目指す強い意志を持っていた。最終的には個人総合での優勝を果たすことでその努力が報われた。

彼はまだ20歳であり、これからも勝ち続けるために努力を惜しまない姿勢を示している。夢はまだ続いており、将来も期待される存在として活躍が期待されている。

体操男子個人総合新王者の岡慎之助 異例の歩みも「五輪への道」信じ

スコアが表示されると、思わずガッツポーズが飛び出した。体操男子個人総合決勝。わずか0・233点差で頂点に立った岡は「目標を達成できてうれしい」とはにかんだ。団体総合との2冠。そして日本勢として3連覇中の個人総合を制した岡が、新たな王者の系譜に名を連ねた瞬間だった。

ポテンシャルの高さから、イタリアの高級車「フェラーリ」にたとえられてきた逸材だ。父、泰正さんが好きなプロ野球巨人の阿部慎之助監督にちなんで名づけられた。4歳で体操を始めたのは、保育園で逆上がりができたことを先生に褒められたことがきっかけだった。

小学2年からは地元の「おかやまジュニア体操スクール」で実力を磨いた。小柄だが、柔軟性がある。何より地道に努力ができる子だった。厳しい練習も「嫌な顔するとか、サボるとか全くなかった」と同スクールの三宅裕二代表。壁倒立を1時間行うメニューもこなし、基礎を作った。

異例の歩みだった。中学卒業後、地元の高校にいったん進んだが、すぐに離れて社会人の強豪「徳洲会」へ。高校から大学を経て社会人入りするのが一般的だが、これが五輪への近道だと信じた。年の離れた先輩と研鑽を積む環境に戸惑い、米田功監督に体操の強豪大学への進学を相談したこともある。「五輪を目指すならこの環境が一番」と諭され、踏みとどまった。

■「勝ち続けられるように」

ケガとも戦った。徳洲会に入って成長痛に悩まされた。手首に鍵を開けられないほどの痛みが走っても「あん馬は肘をついて旋回の練習をした」。2022年には、右膝前十字靱帯断裂の大けがにも見舞われる。「絶対パリに行く」。手術翌日からリハビリを始めた努力が実を結んだ。

会場で見守った泰正さんは「僕の宝。15歳くらいで五輪で金メダルといっていた。有言実行です」。まだ20歳。これが終着点ではない。「チャレンジ精神だけは忘れずに、(内村)航平さんのように勝ち続けられるように頑張っていきたい」。夢は続いていく。(小川寛太)