中学生でホームレスになった有名芸人…家を失ったはじめての夜、その「過酷すぎる1日」
"ホームレス中学生"が新装版として17年ぶりに発売された。読みやすさを重視し、夏休みの読書感想文に最適。
日販図書館選書センター コンシェルジュも、17年前に読んだ時と現在の感想を述べ、感動を語っている。
特別公開された第二話では、田村少年が公園生活を始める様子が描かれている。
『ホームレス中学生』(田村裕 著)が17年ぶりに新装版となって戻ってきた。
小学生でも読みやすいよう、フリガナ多め、文字も大きくなった新装版は夏休みの読書感想文にぴったりだ。
本のプロである日販図書館選書センター コンシェルジュも、
「17年前まだ小学生だった私は、『流行ってるな~』程度の認識で、内容までは知りませんでした。時が経ち、大人になった今読んでみると、ずっと誤解してたなと感じます。こんなにも人間の強さ、優しさ、あたたかさを感じさせてくれる本だったなんて…。小学生の頃の私にも、読ませてあげたいと思う1冊です」
「普段の明るい芸人姿からは想像できない壮絶な生い立ち。その状況下で試された家族の絆。支える周りの人たちの温かさ。当たり前のように衣食住があることのありがたみ。
そして、母の深い愛情。あのときから17年、新エピソードも加わり、田村少年と同世代の今を生きる若者たちに、涙と希望と笑いを改めて届けたい」
とコメントを寄せている。
今回は、「ホームレス中学生」の第二話を特別公開。田村少年が「まきふん公園」を家と決める、公園生活1日目の話だ。
【公園生活がスタート】
とりあえず家があった場所から離れ、どうするか考えた。
昔からあまり人見知りをしない性格で友逹もわりと多かったから、いざとなったら友達の所にでも泊めてもらおうと思ったが、実際に友達に会ってみると何て言えばいいのかわからなかった。
「家が無くなったから泊めてほしい」と言っても、何で家が無くなったのかを聞かれたら説明できないし、単純に恥ずかしいとも思ったし、馬鹿にされる気もした。
思春期の僕には難しかった。
あてもなく、しばらく歩いた。
そこからは何の記憶も無い。ただ何も考えていなかったのか、自分でも知らない間に記憶から抹消してしまったのか、アホで覚えていないだけなのかわからないけど、気が付くと子供のときによく遊んだ、見覚えのある公園の前に立っていた。
「まきふん公園」だ。
この公園、何故「まきふん公園」かというと、いろんな遊具が設置してあるのだが、鉄棒と砂場と座るだけの動物の形をしたコンクリの塊と普通の滑り台の他にもうひとつ、一風変わった滑り台があった。名はこの一風変わった滑り台に由来する。
市としては、巻貝をモチーフに中をくりぬいて、遊べるようにした滑り台を作りたかったのだと思うが、剥げた茶色という見た目も助けて、まきまきウンコにしか見えなかった。それで「まきふん公園」という、いかにも子供が喜びそうな愛称が付いた。
もし興味がある人は、大阪の吹田市の山田西という所にある、小さいほうのイズミヤ(当時。今はデイリーカナート)の横の公園まで見に行ってほしい。残念なことに、今は色が塗り替えられて水色になっており、当時とは少しイメージが変わってしまっているのだが、それでもその形はなかなかの存在感を放ち、悠然とそこに立っている。