「学童じゃないんですけど…」生徒の親に振り回される学習塾講師の気苦労 お菓子をめぐってママバトル、送迎待ちで余計な残業

AI要約

首都圏の中学受験者数が過去最多の5万2600名になり、塾ビジネスも好調である。

親が中学受験をさせる理由は様々であり、塾での問題もある。

地域密着型の学習塾で起きたおやつ問題が親の介入につながる展開となった。

「学童じゃないんですけど…」生徒の親に振り回される学習塾講師の気苦労 お菓子をめぐってママバトル、送迎待ちで余計な残業

 首都圏では2023年の中学受験者数が過去最多の5万2600名を記録し、中学受験熱の高まりが止まらない。合わせて塾ビジネスも好調だ。経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」よると、学習塾(6歳~18歳対象)の売上高は20年前の2004年に約3078億円だったのが2014年には約4045億円、2023年は5813億円と右肩上がり。

 親が中学受験をさせる目的は、必ずしも高偏差値の学校に入れたいだけではない。大学付属校でのエスカレーター上がり狙い、いじめ問題などを考えると公立は避けたい……など、様々な理由がある。

 神奈川県で地域密着型の学習塾に勤める塾講師・坂田さん(仮名)は、「トップ校を狙う塾なら子供にも競争心ややる気があるので、教える方もやりやすい。でも子供が中学受験する意味や理由をよくわかっていないまま塾に入れられているパターンの親に、時々厄介なケースがある」と明かす。それは学習面以外の部分に多いという。

 坂田さんが講師を務める塾では、2~5人の少人数グループ授業を行なう。授業と授業の間の休憩時、小学5年生のあるクラスには生徒同士でおやつを食べる慣習ができて、当番制で一人の生徒が全員分のお菓子を持って来るようになっていた。

 休み時間におやつを食べるのは禁止していないため、塾側ではノータッチだったが、ある日、そのクラスのAちゃんの親からのクレームをきっかけに、塾内は一律『おやつ禁止』になった。

 

「そのクラスの生徒は4人。Aちゃんの親に話を聞くと、当番制はBちゃんの親からの提案だったようです。そもそもはおやつを持ってきている子も持ってきていない子もいたのですが、家で『○○ちゃんのとこはおやつを持ってきてるから、自分も持って行きたい』と訴えた子がいたようで、いつの間にか全員が持ってくるようになりました。

 おやつといっても、ちょっとしたチョコ菓子を1、2個とか、グミを分け合うような程度ですが、毎回違うおやつを考えるのも大変。だったら何回かおきに、一種類を全員分用意するほうがラクというのがBちゃんの親の意見だったようです。

 ただある日の休み時間、Bちゃんと仲の良いCちゃんが『Aちゃんのおやつはいつも安物』だと言ってきたそうです。驚いて話をよく聞いてみると、Cちゃんの親はいつも誰が何をもってきたのかチェックしていて、Aちゃんのお菓子にかかっているお金が少ないことに不公平感を抱いたようです。おやつの金額までは決めていなかったんですね。

 とはいえ、塾がどこまで介入したらいいのかと思っているところに、塾にAちゃんの親から電話がかかってきて、『塾でおやつを禁止にしてほしい』と言われました」(坂田さん)