環境省の推奨する室温「夏季28℃、冬季20℃」は仕事に不向き…集中力を維持する「部屋の温度」は何度か

AI要約

集中力を高めるための環境づくりについて紹介されており、緑視率や植物の配置、アロマの効果などが取り上げられています。

環境づくりの重要性や具体的な効果が科学的に裏付けられており、実践することで集中力を向上させることができることが強調されています。

家やオフィスの環境改善が集中力に与える影響や、具体的な方法が具体的に述べられています。

集中したいときに、最適な温度設定は何か。研修会社らしさラボ代表の伊庭正康さんは「環境省のホームページに省エネの観点から推奨されている『夏季28℃、冬季20℃』という室温の設定は、集中力を高めたいのであればNGである。多くの研究で、おおむね22℃から26℃の範囲にしないと、集中力が削がれることが明らかになっている」という――。

 ※本稿は、伊庭正康『やる気ゼロからフローに入る 超・集中ハック』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■視界に占める緑の割合10~15%で集中力を回復させる

 環境を変えるだけで集中力が高まる、といった経験はないでしょうか。

 本稿では、「集中できる環境づくり」について紹介します。

 実は、集中力を高める環境づくりは、大学などの研究機関だけではなく、多くの企業が検証を行っています。それほど、集中力を維持する上で、環境づくりは大きな鍵を担っているのです。

 本稿では、エビデンス(効果の証明)のあるメソッドで、かつ私が実践して、本当にオススメできるものに絞って紹介します。

 最初に紹介したいのが、「緑視率」の効果です。

 デスクやフロアに植物を置いてみてください。それだけでも、集中力を高める効果があります。

 この「緑視率」とは、人の視界に占める緑の割合のこと。

 「緑視率」を高めることで、集中力が高まることがわかっており、集中力を高めるには10~15%の緑視率がベストと言われています。

 緑のある空間では、ストレスを感じた際に分泌されるストレスホルモンである「コルチゾール」の増加が抑制されます。そのため、集中力が回復しやすくなり、集中力をキープできるのです。

■もっともストレス軽減効果が高い植物の置き方

 コクヨ、JINSなどからなるプロジェクトが経産省に提言した「ワークスタイル変革モデル事業のレポート」(H30年)には、とても示唆に富むデータが紹介されています。

 植物を最適配置した部屋で仕事をすると、集中力が8%も向上する検証が得られたのです。

 さらに、メルボルン大学の研究にこんなものがあります。

 退屈なタイピング作業の途中で40秒間の休憩を挟み、緑あふれる屋根の画像を見ながら休憩を取ったグループは、オフィス街のコンクリート屋根の画像を見ながら休憩したグループより、タイピングのミスが減り、集中力が回復する効果が高くなるとの検証も得られたのです。

 さらに、植物の配置についての面白い検証もあります。

 ある研究では、「植物を左右対称に設置するレイアウトがもっともストレス軽減効果が高い」ことがわかっています。

 なので、リモートワークをする際、PCの横に小さな観葉植物を置くだけでも、ストレスが軽減でき、集中力を持続しやすくなるのです。

 私もデスクの横に、フェイクグリーンを置いています。見た目は、本物と区別がつかないほどに精巧です。

 それでいて、光触媒による脱臭効果もありますし、何より手間がかからないのが気に入っています。

■「家のニオイ」が集中力を下げる

 リモートワークの時、なぜか集中力を維持できないということもあるでしょう。

 要因の1つに「ちょっとした家のニオイ」が影響していることも少なくありません。

 脳波研究の第一人者、杏林大学の古賀良彦名誉教授はこう言います。

 「本人が意識しない家のニオイが脳にマイナスの影響を与えている可能性がある」と。

 実際、教授とP&Gの実験において、汗、体臭のニオイを感じる状況では、集中力の指標となる脳波が10.8%も低下したそうです。

 そこで、オススメの方法があります。

 リモートワークで集中力を高めたい時は、アロマを香らせてみてください。

 香りをかぐと「よし、仕事モードに入るぞ」との合図になるからです。

 前項でも紹介した「ワークスタイル変革モデル事業のレポート」(H30年)によると、仕事空間に入る前にアロマディフューザーを置いたところ、集中力が5%も向上したことがわかったのです。