この巨体で自重5トン切りってマジか!? ドイツからやってきた粉粒体運搬トレーラの積載能力がスゴい!!

AI要約

フェルトビンダー社の粉粒体運搬トレーラの特徴について紹介。

タンクの特殊な内部構造や排出方式について詳細に解説。

長距離輸送への効果や2024年問題へのアプローチに注目。

この巨体で自重5トン切りってマジか!? ドイツからやってきた粉粒体運搬トレーラの積載能力がスゴい!!

 輸入トレーラの販売/メンテナンスを行なう上陣(愛媛県松山市)がジャパントラックショー2024に3台の輸入トレーラを出品。今回はその中からドイツ・フェルトビンダー社の粉粒体運搬トレーラを紹介しよう。日本の展示会初登場となる同車両の特徴とは?

 文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

※2024年6月10日発売「フルロード」第53号より

 粉粒体運搬車とは、セメントや焼却灰、石灰、化学薬品、食品原料などさまざまな粉体/粒体の運搬に特化したタンク車のこと。1つにまとまっていないバラバラの積み荷=バルク品を運ぶので、バルク車、バルクローリーなどとも呼ばれている。

 フェルトビンダー社はこの粉粒体運搬車を最も得意とするドイツのタンク車メーカーで、日本では上陣を通じてトレーラタイプの粉粒体運搬車(サイロタンクセミトレーラ)の販売を行なっている。

 ラインナップは4機種で、最大積載量/容積は最もコンパクトな1軸車で18.3トン/20立方メートル、2軸車で25.8トン/26立方メートル、3軸車の積載重視モデルで31トン/31立方メートル、3軸車の容積重視モデルで30.7トン/40立方メートルとなっている。

 このうち今回ショーに出品されたのは3軸車の積載重視モデル。日本市場向けのフラッグシップモデルで、トレーラ単体の寸法は全長9925mm、全幅2500mm、全高3500mmである。

 スタイリッシュなタンクは厚さ5mmの特殊アルミ合金製で、ボルトを使わない溶接構造を採用することで軽さと強度を両立。軽量化を追求するため、メインフレームを使わず、タンク本体を強度部材とするモノコック構造を採用しており、車体重量はほとんどのモデルで5トンを切る。

 タンクは3つのサイロをくっつけたような特殊な内部構造で、各サイロの天井部と底部に積込口と排出口を備える。積み込みは工場のサイロ底部と車両の積込口をホースで繋いで、積み荷を自重でタンク内に落下させるという極めてシンプルな方式だ。

 一方、排出は独特で、まずタンク下部の排出口から伸びるパイプ先端と工場側サイロ天井部をホースで連結。そのうえで、タンク底部の布製パッドから吹き出す圧縮空気と積み荷を混ぜて流動化させ、空気の圧力と積み荷の自重で工場側サイロ天井部の積込口に圧送する。

 エアレーション式と呼ばれるこの排出方式は、他社の粉粒体運搬車でも見られるものだが、フェルトビンダー社では排出パイプ先端部にリング状のジェット気流で排出スピードを加速させる「リングジェット機構」を標準装備することで、スピーディな荷降ろしを実現しているという。

 その排出スピードは、工場のサイロの高さが約30メートル、ホースを水平に接続している距離が約20メートルの場合で、1分あたり約1トンのセメントを圧送できるというもの。各操作は車体左側の集中操作パネルから操作可能で、作業時間の短さに加えて操作性の良さもアピールしている。

 上陣によると、同車両は短い距離を何度も行き来するピストン輸送よりも長距離輸送で大きなメリットを発揮するとのこと。1台あたりの輸送量が増えることで車両の運用効率もアップするため2024年問題にも効果があるはず……とのことだ。