1500億円上場のタイミー、株75%を海外売出しした狙い【三菱モルガン出身CFOに聞く】

AI要約

タイミーは大型上場で、海外投資家への売出しを重視しました。

タイミー株主の海外比率は上昇し、10年スパンでの投資を目指しました。

海外投資家との関係構築に力を入れ、グローバル・オファリングを実施しました。

1500億円上場のタイミー、株75%を海外売出しした狙い【三菱モルガン出身CFOに聞く】

上場初日の終値ベースの時価総額で1569億円の大型上場となったタイミー。

タイミーの上場で特徴的だったのは、海外投資家への売出しが多い点だ。売り出した3708万株(うちオーバーアロットメントによる売り出し477万株を含む)のうち、75%にあたる2781万株が海外売出しされた。

上場前は約2割だったタイミー株主の海外比率は約5割にまで上昇した。

なぜ、国内展開するスポットワークサービスが、海外からの投資にこだわったのか?

三菱UFJモルガン・スタンレー証券出身で、タイミーCFO・八木智昭氏にその理由を聞いた。

八木智昭…2008年に三菱UFJ銀行入行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などを経て2020年12月にタイミーCFOに就任。

── 海外売出を75%にした理由は?

もともと国内対海外の比率は4対6で考えていましたが、仮条件決定および条件決定のときに比率を上げて結果75%になりました。

タイミーのミッションは「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」。インフラという言葉を使っていますが、インフラは1~2年で作れるものではなくて、作るためには短くても10年はかかります。そのためにも10年スパンで会社に向き合ってもらい、腰を据えて投資してもらう必要があります。

日本の投資家に比べると、規模の大きなお金を長期にわたって運用する海外投資家の資金を多く集める必要があることは、タイミーに入社した当時から考えていました。

── どのように海外投資家にアプローチを?

香港、シンガポール、サンフランシスコやニューヨークなどで開催される、投資家カンファレンスにどんどん参加して、海外投資家と300件以上話をしてきました。

投資家カンファレンスは、主に上場企業と投資家のマッチングの場で、多くの場合、非上場企業は投資家にあまり相手にされないのですが、各証券会社に「会社紹介のために説明の機会をください」と頼んで、1対1のミーティングを1日に5件以上こなしたりしました。

通常のIPOの場合、上場が決まってからロードショーで初めて海外投資家と話すのが普通です。ただ今回はIPOが決まる前から、すでに3回、多い場合5回、海外投資家に会っていました。それくらい事前の関係構築に力を入れてきました。

今回はグローバル・オファリング(アメリカを含む海外市場でも同時に募集・売出を行う形式)だったこともあり、海外、特にアメリカの投資家にはたくさん会いました。