CEOなのにクビになった「ChatGPTの親」サム・アルトマンが仕掛けた猛反撃の内容~社内クーデターを4日で制圧~
2023年11月、OpenAIのCEOであるサム・アルトマンが突如解任されるが、すぐに復帰する騒動が起きる。
アルトマンは解任された際に暫定CEOを支援する意向を示すという驚きの反応を見せる。
ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどが報道したこの出来事は、人間性と企業の特殊性が絡んだものである。
2023年11月、ChatGPTを開発したOpenAIを率いるサム・アルトマンCEOが突如解任されるという社内クーデターが起こった。結局、アルトマンはすぐにCEOに復帰するが、この騒動はなぜ起きたのか？
そこにはOpenAIという企業の特殊性とアルトマンの人間性が絡んだ原因があった。知られざる真相をお伝えする。
(小林雅一『イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマン』から一部を抜粋して再構成しています)
■クビを言い渡され最初に出た一言
2023年11月17日の金曜日、OpenAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)はフォーミュラ1(F1)のグランプリを観戦するためラスベガスの高級ホテルに滞在していた。
その前日の晩、彼は同社のチーフ・サイエンティストで取締役の一人でもあるイリア・スツケヴァーから「明日の正午に話をしたい」というメールを受け取っていた。
これに応じて正午頃にノート・パソコンからビデオ会議に参加すると、そこには何故かスツケヴァーだけでなく(彼を含む)4人の取締役が既に顔を揃そろえていた。アルトマンは「何かがおかしい」と感じた。
嫌な予感は的中し、彼はスツケヴァーから「サム、君はアウトだ。クビになるんだ」と告げられた。
一瞬、我が耳を疑ったアルトマンだが、とっさに「僕に手伝える事はあるかな？ (How can I help？ )」と尋ねていた。
これに対しスツケヴァーら4人の取締役は「暫定CEO(に就任する人物)を支援してくれ」と頼んだ。アルトマンは了承したという。
以上はニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米国メディアの報道に基づくが、解雇を言い渡された直後の彼の反応には驚かされる(ちょっと可笑しく感じられさえする)。恐らく動揺した気持ちを隠すためであろうが、普通の人物なら中々こんなことは言えないだろう。
