小倉総合車両センター、移転新築へ 投資額480億円 JR九州

AI要約

JR九州は北九州市にある車両基地を移転新築する計画を発表した。老朽化した施設の対応が主な理由で、新しい基地では新技術が導入される予定。

移転後の跡地利用は未定だが、市長は再開発の可能性を高く評価しており、付加価値の高い街づくりを目指す意向を表明している。

小倉総合車両センターは明治時代に建設された近代建築の一部も含む歴史的な施設であり、九州の鉄道の発展を物語る遺産として知られている。

小倉総合車両センター、移転新築へ 投資額480億円 JR九州

 JR九州は24日、北九州市小倉北区金田3の車両基地「小倉総合車両センター」を北東に約3キロ離れたJR貨物(東京)所有地に移転新築すると発表した。施設の老朽化への対応が理由。2024年度末までに用地を取得予定で、31年度末ごろの完成を目指す。投資額は約480億円の見込み。【下原知広、山下智恵】

 新たな車両基地は、JR貨物の東小倉駅(小倉北区高浜1)の敷地内に計画。面積は約7万8000平方メートルで、現在の約2分の1になる。塗装ロボットや車両の入場工程管理システムなど新技術を導入する他、効率的な車両検査ができるようにするという。

 小倉総合車両センターは、約15万8000平方メートルに列車の改造や検査施設を備える。観光列車も製造し、今年4月には「かんぱち・いちろく」の完成披露式典も開いた。

 センター内には、子供たちが遊べる「小倉工場鉄道ランド」もあるが新車両基地にその機能は引き継がず、廃止する方針。移転後の跡地利用は現時点では未定という。

 古宮洋二社長は24日の定例記者会見で「(現センターは)設備も建屋も古く更新はしているものの、最新の技術を使った機械を入れるのであれば、新しいところに作り直す方が効率的だ」などと述べた。

 ◇跡地の再開発に大いなる可能性 武内市長

 移転計画について武内和久・北九州市長は25日に開いた定例記者会見で「市内への移転でありがたく思っている。跡地は小倉駅から直線距離で2キロと近く、都市高速の出入り口に隣接する非常に便利なエリア。大規模開発の可能性を大いに秘めた魅力あるエリアだと認識している」と歓迎。跡地利用についても「付加価値の高い街づくりに取り組むよう市も汗をかいていきたい」と述べた。

 また、基地内の建造物については「現時点では何の情報も得ておらず、何とも申し上げられない」と話した。

 ◇明治時代建設 レンガ造りの近代建築も

 小倉総合車両センターは九州鉄道株式会社の小倉工場として1891(明治24)年、初代門司港駅(当時の名前は門司駅)や九州鉄道本社(現九州鉄道記念館)と共に造られた。その後、国鉄の小倉工場、JR九州の小倉工場として、車両の検査・改造・整備、機関車の製造を担った。2011年、JRの組織改正により現在の名称に変更された。構内には▽創業時から残る旧機関車職場▽1913(大正2)年に造られた旧鍛冶職場▽1914(大正3)年建築の鉄工改造場――の三つのレンガ造りの建物がある。明治、大正期の九州の鉄道導入期を物語る近代化遺産といわれている。