ECB、銀行の地政学リスク精査へ ロシアの教訓踏まえ

AI要約

欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のクラウディア・ブーフ委員長は、地政学リスクが銀行に及ぼす影響を把握するための新たな枠組みの開発に取り組んでいることを明らかにした。

ロシア制裁によって一部の銀行が打撃を受け、特にイタリアの銀行大手ウニクレディトがECBからの要請に不満を抱いて提訴するなど、影響が広がっている。

地政学リスクが銀行の信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクにどのように影響するかを理解するために、ECBは枠組みを整備している。

ECB、銀行の地政学リスク精査へ ロシアの教訓踏まえ

Huw Jones

[ロンドン 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のクラウディア・ブーフ委員長は24日、地政学リスクが銀行に及ぼす影響を把握するため、新たな枠組みの開発に取り組んでいることを明らかにした。

対ロシア制裁で一部の銀行の業務が打撃を受けたことを踏まえた措置という。

イタリアの銀行大手ウニクレディトは今月、ECBからロシアへのエクスポージャーを減らすよう求められたことを不服として、欧州連合(EU)の裁判所に提訴したことを明らかにしている。

ブーフ氏は個別の銀行についてはコメントしないとしながらも、ロシアは銀行のリスク環境がいかに変化したかを示す好例だと指摘。制裁は銀行の評判に影響するリスクがあり、罰金を科されれば資本や流動性に影響が及びかねないとの認識を示した。

同氏はピーターセン国際経済研究所が主催したオンラインイベントで、ECBは早い時期から銀行にロシアからの撤退と同国へのエクスポージャー削減を求め、多くのケースでそれが実現したと発言。

「こうした地政学リスクはなくならないだろう」とし「われわれは地政学リスクに対処するため、監督当局として利用できる枠組みの開発に非常に密接に取り組んでいる」と述べた。

この枠組みは、地政学リスクが銀行の信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクにどのように影響するかを理解するために利用されるという。