なぜVWは一挙に「4台ものニューモデル」を発表した? コンパクトSUVからハッチバックまで「人気4車種の新型」はVW復権に貢献できるか!?

AI要約

フォルクスワーゲン(VW)が日本市場に4車種の新型車を導入する背景には、人気の高いSUV市場を意識した戦略と需要の変化があります。

新型車は、「Tクロス」「ゴルフ」「ティグアン」「パサート」の4車種で、ビッグマイナーチェンジとフルモデルチェンジモデルに分類されます。

「Tクロス」はVW初のコンパクトSUVとして成功し、コンパクトSUV市場での強さをアピール。一方「ゴルフ」は改良型でエンジン性能やデジタル機能の強化を図り、セールスの回復を目指します。

なぜVWは一挙に「4台ものニューモデル」を発表した? コンパクトSUVからハッチバックまで「人気4車種の新型」はVW復権に貢献できるか!?

 ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(以下、VW)は先頃、大々的な発表会を開催。日本市場に4車種のニューモデルを導入すると発表しました。

 今回、VWが一度に4車種もの新型車を発表した背景には、どんな理由があったのでしょうか?

 今回、VWが導入を発表したのは、コンパクトSUVの「Tクロス」、ミッドサイズSUVの「ティグアン」、ステーションワゴンの「パサート」、そしてコンパクトハッチバック及びコンパクトワゴンの「ゴルフ」シリーズという4車種です。

 これら新型車は、大きく分けてふたつに分類することができます。ひとつは、先陣を切って上陸する「Tクロス」とVWのアイコンである「ゴルフ」シリーズのように、現行型に大きな改良を加えたビッグマイナーチェンジモデル。そしてもうひとつは、「ティグアン」と「パサート」のように、全面刷新が図られたフルモデルチェンジモデルです。

 ここからは、そんな4車種の特徴をチェックしていきましょう。

 まず「Tクロス」は、VW初のコンパクトSUVとして、2019年11月に日本仕様が発表されました。本格上陸を果たした2020年からは、3年連続で輸入車SUVカテゴリーの登録台数トップに輝き、2023年も2位にランクイン。同年1位はVWのコンパクトSUV「Tロック」が獲得していますから、VW製コンパクトSUVの強さがうかがえます。

 VWのコンパクトカーといえばハッチバックの「ポロ」が有名ですが、近年のSUV人気の高まりもあり、今では主役は「Tクロス」に移行したといえそうです。ちなみにこの2モデルは、合わせると年間1万台以上のセールスを記録しており、VWへのエントリー層を獲得するための大きな役割を担っていることが分かります。

 今回、マイナーチェンジを受けた「Tクロス」は、内外装の化粧直しに加えて装備の強化を図りながら、値上げは最小限に抑えられているのが特徴。さらに最上位のスポーティ仕様「Rライン」については、新装備を追加しながら一部装備をオプション化することで、価格の引き下げに踏み切るなど、思い切った価格設定により輸入コンパクトSUVの王座を守ろうとしています。

 こうした努力の背景には、ミニマムクラスの輸入SUVクラスで他の追従を許さないほどの成功を収めていることも大きな要因といえるでしょう。

●セールスが回復している「ゴルフ」も改良型へと進化

 ビッグマイナーチェンジで大幅なアップデートを果たす改良型の「ゴルフ」シリーズは、まさにVWの顔ともいえる存在です。

 現行型である8世代目の「ゴルフ」は、2021年に日本市場への導入を開始。「電動化」、「運転支援機能の強化」、「デジタル化」という3つを柱に、その先進性に磨きを掛け、従来型から飛躍的な進歩を遂げました。

 その一方、現行モデルは登録台数が振るわなかったという現実があります。インポーターによると、現行「ゴルフ」はコロナ禍の影響を大きく受け、工場からの出荷台数が制限され、車両の確保にも苦戦したといいます。

 それを裏づけるように、登録台数は2021年より年々増加傾向にあり、2023年の輸入車モデル別登録台数では2位まで回復を果たしています。

 今回発表された改良型は、ガソリン車の48Vマイルドハイブリッド仕様である1リッター直3ターボエンジンを廃止し、48Vマイルドハイブリッド仕様の1.5リッター直4ターボに一本化。またデジタル機能では、“IDA(アイダ)”と呼ばれるボイスアシスタント機能を備えた新インフォメーションシステム“MIB4”が投入されています。

 エクステリアは、ライトデザインを変更するなど大がかりな化粧直しがおこなわれており、より精悍な顔つきへと進化。発表会場にはエンジン性能を強化したホットハッチである「ゴルフGTI」が展示され、大きな注目を集めました。