鈴鹿8耐、ホンダワークス3連覇 30号車Team HRC with Japan Postが1号車YART YAMAHAと8秒差で逃げ切り優勝

AI要約

鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会が行なわれ、Team HRCが3連覇を果たす。

レースでは、30号車が優勝し、2位にYART YAMAHA、3位にYoshimura SERT Motulが入る。

最終盤では30号車がペナルティを受けるピンチも乗り越え、勝利を手にした。

鈴鹿8耐、ホンダワークス3連覇 30号車Team HRC with Japan Postが1号車YART YAMAHAと8秒差で逃げ切り優勝

 鈴鹿8耐「2024 FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会」は7月21日、46台による決勝レースが行なわれ、30号車Team HRC with Japan Post(高橋巧/ヨハン・ザルコ/名越哲平、CBR1000RR-R SP、BS)が優勝を飾り、ホンダのワークスチームTeam HRCは3連覇を果たした。

 2位は約8秒差で1号車YART YAMAHA(ニッコロ・カネパ/マーヴィン・フリッツ/カレル・ハニカ、YZF-R1、BS)、3位は12号車Yoshimura SERT Motul(渥美心/アルベルト・アレナス/ダン・リンフット、GSX-R1000、BS)。海外メーカーマシンとして初優勝・初表彰台が期待された2号車DUCATI Team KAGAYAMA(水野涼/ジョシュ・ウォータース/ハフィス・シャーリン、PANIGALE V4R、BS)は4位だった。

■ スタート~1時間:オープニングはトップ3の激しいバトル

 1日を通じてドライコンディションが予想されるなか、マシンに駆け寄るル・マン式で幕が上がった2024年の鈴鹿8耐決勝、スタートでいち早く飛び出したのは37号車BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMだった。ホールショットを決めて集団をリードするが、最後のシケインでかわされ1号車YART YAMAHAがオープニングラップを制する。

 30号車Team HRC with Japan Postは予選順位通りの3位を維持していたが、3周目にポジションを1つ上げ2位へ。2号車DUCATI Team KAGAYAMAはスタートで出遅れ一時10位前後まで後退するも、4周目で3位まで挽回する。

 37号車はじりじりと順位を下げて6位へ。反対にエクスペリメンタルクラスで唯一参戦している0号車Team SUZUKI CN CHALLENGEは、予選16位から8位へと大きくジャンプアップした。

 6周目からは1号車、30号車、2号車の3台によるトップ争いが激しくなる。何度か順位を入れ替えつつも、10周目に30号車がトップに立つと徐々にギャップが開き、2号車、1号車、続いて73号車SDG Team HARC-PRO. Hondaという並びで落ち着く形となった。

 30分が経過しようとするところでデグナー出口で転倒があり、セーフティカー導入が宣言される。しかし、迅速に処理が完了したためかセーフティーカーは結局導入されず。この間にやや開きかけていた上位陣のギャップが縮まるも、改めて30号車が引き離しにかかる。

 30号車は概ね2分7秒後半~8秒前半でラップして、2位の2号車が2分8秒中盤あたり。50分が経過したところで初回のピットストップに向かうチームが現れ始め、3位につけていた73号車や5号車F.C.C. TSR Honda Franceなどが早めにピットインした。30号車は28周目まで引っ張り、MotoGPライダーのヨハン・ザルコ選手にバトンタッチする。

■ 1時間~4時間:順調に周回を重ねる30号車、2号車はピットでのタイムロスが響く

 1時間経過までにほとんどのチームが初回のピットストップを終え、リードするのは30号車Team HRC with Japan Post。そこに1号車YART YAMAHAと73号車SDG Team HARC-PRO. Hondaが続く。2号車DUCATI Team KAGAYAMAは再スタート時のエンジン始動に手間取った影響か、ピットストップ前から2つポジションを下げ4位に。

 2回目のピットストップは1時間45分が経過したあたりから。上位チームのラップ数は50を超えた。30号車ヨハン・ザルコ選手は周回遅れの処理にも苦戦することなく、安定したタイムで淡々と周回し、2位の1号車との間に20秒以上の差を築き上げたうえで3人目、名越哲平選手に交代した。

 ここまで4位を走行していた2号車は、3スティント目に再び水野涼選手に代わり、ペースが上がらない73号車を捉えて3位を奪い返す。直後に73号車はややイレギュラーなタイミングでピットインし、この時点で9位にまで後退してしまった。

 3時間余りが過ぎ、30号車、1号車、2号車がトップ3。9位走行中の5号車F.C.C. TSR Honda Franceがデグナーで転倒を喫し14位にポジションダウンした以外は、上位陣に大きなアクシデントもなく着実に周回を重ねてレースは折り返しへ。

■ 4時間~チェッカー:最終盤、30号車ペナルティで一転ピンチに!?

 4時間過ぎて後半戦。5スティント目に入った30号車Team HRC with Japan Postは、2位の1号車YART YAMAHAに約40秒の差をつけ独走態勢を築くかのような情勢となる。2位と3位以下とのギャップも大きく、しばらく順位に動きのない時間帯が続く。

 そんななか、3位争いしていたのが12号車Yoshimura SERT Motulと2号車DUCATI Team KAGAYAMAの2台。12号車がやや有利なレース運びを見せていたものの、レース残り1時間半のところでピット作業における問題によりライドスルーペナルティが課されてしまう。

 これが影響してタイム差が一気に縮まったことにより、残り1時間ちょうどのところで2号車が12号車をオーバーテイク。12号車が最終スティントに入ったタイミングで、2号車は50秒余りのアドバンテージを得る。

 日没後、最後のピットストップを終えた2号車は12号車の前でコースに復帰するも、タイム差はほぼなく一騎打ち。何度かつばぜり合いを繰り広げたが、最後は12号車に軍配が上がり3位表彰台を獲得。海外メーカーマシンの鈴鹿8耐初の表彰台はお預けとなった。

 一方、トップを走る30号車は、レース後半ほとんどの時間帯で2位と40秒以上の差を保った。レース終了まで残り5分のタイミングでピット作業に絡み+40秒のペナルティを課されるも、2位の1号車に50秒弱のアドバンテージを作って辛くも逃げ切り(ペナルティ適用後のタイム差は7.860秒)。3連覇を果たすとともに、コース改修前後を含め史上最多周回数となる220周の記録も達成した。

 2位は1号車。優勝にはわずかに及ばなかったが、チームとしてはこれが鈴鹿8耐初の表彰台。0号車Team SUZUKI CN CHALLENGEは8位入賞で、サステナブルな燃料とパーツで十分に戦えることを証明した。

■ 決勝後の会見での各チームのコメント

30号車Team HRC with Japan Post 高橋巧選手

 疲れました。脱水で声があまり出ないですけど、今はとりあえずほっとしています。6勝目を達成でき、ホンダとしても30勝を達成できて、ホッとしてる以外何もないです。心強いチームメートに恵まれ、チームスタッフのみんなの頑張りもあり、応援してくれたファンの皆さんのおかげでここにいられると思っています。ここをスタートとして、またさらに記録を刻めるように、いいオファーがあったらまた来年も出たいなと思っています。

(レース中危なかったシーンについて)

 最後ペナルティを受けていたのも知らなかったし、(ピットのサインボードの指示では)急に後ろとのギャップが減っていたので、違うピットのサインボードを見たのかなと思いながら走っていました。残り時間もあまりないし、無理して攻める必要もないかなと思って、(それでも)念のためちゃんと走ってましたけど、最終ラップだけは気が抜けたのか(最終ラップ110Rのヘアピン手前に落ちていた黄色の)腕章を踏んで転びそうになりました。

1号車YART YAMAHA マーヴィン・フリッツ選手

 非常にうれしく思っています。スパ(フランコルシャン8時間耐久レース、前戦)の優勝の後、(トップのYoshimura SERT Motulから)1ポイントビハインドでしたが、2位になったことでリードできました。振り返ると、予選も良かったですし、TOP10トライアルでポールを獲得することもできて本当に良かったと思います。レースではピットストップもうまくいきました。

 (優勝した)Team HRCにはおめでとうと伝えたいです。素晴らしい戦いだったと思います。レースの最後の30分は、もし僕たちのチームが同じような違反を犯したら、ピットで30秒のストップ&ゴーになっていたと思うので、不公平にも感じましたが。

 それはともかく、この場を借りてヤマハにも感謝したいです。このように素晴らしい世界中のライダーやメーカーの人たちと一緒に戦えるのは本当に光栄です。

12号車Yoshimura SERT Motul 渥美心選手

 初めての鈴鹿8耐の表彰台なので、素直にうれしいです。Yoshimura SERT Motulに2023年のボルドールから加わって、第4ライダーとしてチームの仕事を見てきたり、冬の間は開発をしたりしてうまくいったんですけど、なかなかレースで走る機会がありませんでした。鈴鹿8耐で走るという話を受けて、ここに向けてはすごく準備してきました。

 これまで(チームとしては)ランキングトップだったので、何とか(次戦の)ボルドールまでとにかくYART YAMAHAの皆さんに離されないように、というのがメインの目的でした。今回逆転されちゃったんですけど、YARTさんが2位で僕らが3位を取れたのは、ボルドールに繋がることだと思います。チームのことを信じてやってきて本当に良かったなと思っています。

 アルベルト(・アレナス選手)は今回練習走行の日まで全然走れなかったんですけど、決勝でも走るかどうかわからない中でしっかり準備をしていました。スティントを突然任されてもしっかり仕事をしてくれて、本当に素晴らしいライダーだなと思います。

 ダン(・リンフット選手)に関しても、ずっと一緒に今シーズンやってきて素晴らしいライダーだと思っていますし、(今回は)彼のペースの良さに助けられたので、なんとか最後に僕が逆転できて良かったなと思っています。

■ 決勝レース暫定結果

順位:チーム(選手、車両、タイヤ)

1:30号車Team HRC with Japan Post(高橋巧/ヨハン・ザルコ/名越哲平、CBR1000RR-R SP、BS)

2:1号車YART YAMAHA(ニッコロ・カネパ/マーヴィン・フリッツ/カレル・ハニカ、YZF-R1、BS)

3:12号車Yoshimura SERT Motul(渥美心/アルベルト・アレナス/ダン・リンフット、GSX-R1000、BS)

4:2号車DUCATI Team KAGAYAMA(水野涼/ジョシュ・ウォータース/ハフィス・シャーリン、PANIGALE V4R、BS)

5:37号車BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(マルクス・レイテルベルガー/シルヴァン・ギュントーリ/イリア・ミカルキク、M1000RR、DL)

6:71号車Honda Dream RT SAKURAI HONDA(伊藤和輝/日浦大治朗、CBR1000RR-R SP、BS)

7:104号車TOHO Racing(清成龍一/渡辺一樹/榎戸育寛、CBR1000RR-R、BS)

8:0号車Team SUZUKI CN CHALLENGE(エティエンヌ・マッソン/濱原颯道/生形秀之、GSX-R1000R、BS)

9:73号車SDG Team HARC-PRO. Honda(國井勇輝/浦本修充/マリオ・アジ、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)

10:99号車KM99(ランディ・ド・プニエ/ジェレミー・ガルノニ/フロリアン・マリノ、YZF-R1、DL)