「親の働き方が変わらなければ」海外の人が驚く「長時間保育大国」日本の実態 保育士の働き方改革にも影響

AI要約

日本の保育施設における不適切な行為や長時間保育の問題について検証されている

海外の保育施設の保育時間と比較して、日本の長時間保育が顕著であることが示されている

長時間保育の普及による問題点や弊害が指摘されている

「親の働き方が変わらなければ」海外の人が驚く「長時間保育大国」日本の実態 保育士の働き方改革にも影響

暴力や激しい叱責など、保育施設において子どもの心身を脅かす「不適切」な行為が発生しています。いま保育の現場はどうなっているのでしょうか。長年、保育問題に取り組んできた「保育園を考える親の会」アドバイザー・普光院亜紀さんの新著『不適切保育はなぜ起こるのか──子どもが育つ場はいま』から一部を抜粋し、その背景を3回シリーズでお届けしています。3回目の今回は「長時間保育」に着目しました。

1回目:“お利口な”子が多い保育施設に潜む「不適切保育」

2回目:“不適切保育”から「子を守る」親にできること5つ

■気がつけば「長時間保育大国」

 認可保育園の保育時間が延びたことで、助かった親たちは多いはずだ。親たちは「会社員の実情に保育園がやっと追いついて普通になった」と感じているだろう。

 しかし、ふと先進諸国の保育に目をやると、どうも日本ほど長時間保育が普及している国はないらしいということに気がつく。特に、都市部で実施率が9割を超える延長保育の普及状況は、海外の研究者などに驚かれることも多い。

 海外の最近のデータや報告を調べると、北欧は特に保育時間が短く、17時、18時には閉園する例が多い。

 スウェーデンでは7時から17時30分が平均的な開所時間で、ストックホルムには18時30分までの園もあるが、残業する習慣がないので長時間の利用はほとんどないという。ノルウェーでは17時閉園で15時30分にお迎えのピークがある地域の報告もある。

 イングランドでは19時まで開所している施設もあるが、利用を1日10時間に制限している。フランスでは、パリの公立保育園の閉園が18時45分であるという報告の中で、一般の労働者に残業する習慣がないので十分に間に合っていると説明されている。

 ニュージーランドの都市部では開所時間が7時から18時という私立保育所が多いが、16時30分までにほとんどの子どもが帰るという園の報告も見られる。

 それぞれに労働事情や通勤事情が異なるので比較は難しいが、どの国も日本のように遅い時間までの延長保育を実施していないということは確かなようだ。

■延長保育の弊害

 図1は「100都市保育力充実度チェック」(保育園を考える親の会)の各年度数値をグラフ化したものだ。