【相続税の納付】「税務調査」が厳しく、申告漏れの指摘も多い

AI要約

税務署は相続税の申告に厳しく監視しており、納税額も多額であるため、注意が必要です。

一般的には、所得税なども含めた納税申告には厳しい目が向けられますが、重点的に相続税の申告漏れをチェックしています。

相続税に対する税務調査の件数は最近回復基調にあり、未申告が発見された場合の追徴税額は増加傾向にあります。

【相続税の納付】「税務調査」が厳しく、申告漏れの指摘も多い

個人の納税申告が、適正に行われているかどうか、税務署は常に監視をしています。しかし、すべての納税申告を点検し、正しいかを調べるのは容易ではありません。そこで、最も厳しい眼を向けられているのが「相続税」です。納税額も多額になるため、税務当局が厳しい眼が向けています。

納税額に申告漏れがないかを調べるのが「税務調査」です。しかし、すべての納税申告に対し、疑義があると想定して調べることはできません。例えば、所得税などは、数年同じ傾向が続く中で納税していれば、税務調査の対象とはなりにくいと思われます。

実際、多少の計算ミスや少額の申告漏れがあっても、指摘されるケースも極めてまれです。前年の申告内容と照合し、変動幅が少なければ、税務調査の対象になりにくいのです。

給与所得者以外の方でも、所得額が大幅に増加した、高収入なのに申告納税額が少ない、などの事情がなければ、調査対象にはなりません。医療費控除の申告なども同様で、わずかな申告漏れがあっても、税務署から追徴の指摘を受けることは少ないかと思います。

相続税の申告は、実際の納税額も多額のため、極めて厳しい眼で見られます。さらに、相続税の補完目的で機能した贈与税よりも、相続税本体を軸にした税体系に移行させようとする国の姿勢があります。

例えば、孫など法定相続人以外への贈与は、現行では相続発生時点から3年以内でも、贈与として成立します。ところが、これを法定相続人と同様に、相続税として再計算される仕組みに変更される可能性もあります。

相続税に対する税務調査の件数は、コロナ禍でかなり減少していましたが、最近では回復基調にあります。相続税が調査対象となるのは、摘発すれば1件当たりの追徴額が高額になるためです。徴税側から見れば、多くの人員を投入するに値するのです。また所得税など他に比べ、納税時期が特定月に集中しておらず、調査対象にしやすい側面もあります。

一般的には、相続財産が高額になるほど、未申告の財産を調査する眼も厳しくなります。実際に未申告が発見された追徴税額は、2022年度で1件当たり平均800万円を超えています。

10年前の追徴税額は平均400万円ほどでしたから、ここ数年、追徴税額は一貫して増加傾向にあり、いかに税務当局が注視しているかわかります。相続税の基礎控除額が減額されたことにより、相続税の課税対象者が増えたことが要因の1つと考えられます。

相続税の納税は、一生に何度も経験するものではありません。申告書の作成は、手間のかかる複雑な作業のため、できれば税理士など専門家に依頼するのが賢明です。ところが納税者本人が作成すると、知識不足などが原因で申告漏れが多いのです。どうしても、納税額を抑えたいとの心理も働き、過少申告しがちです。

税務署は、多額の資産保有者ほど、相続財産額の正確な把握に努めており、申告漏れに対し、厳しい眼が向けられることは覚悟しておきましょう。