フリーターの息子がいます。今は月収10万円だそうですが、扶養に入れたほうがいいですか? 年収600万円の会社員で、あと10年で定年となります。

AI要約

ご相談者は、息子を10年後の定年まで扶養に入れるべきかを悩んでいる。現在の条件や税法の変更などを考慮しながら、扶養親族に入れるメリットを検討する必要がある。

具体的な計算やケーススタディを通じて、扶養親族に入れることで納税額を抑えることができる可能性がある。源泉徴収票で確認が必要である点も強調する。

将来の状況によって適切な選択ができるよう、税制度などの情報を注意深くキャッチし、検討を進めることが重要である。

フリーターの息子がいます。今は月収10万円だそうですが、扶養に入れたほうがいいですか? 年収600万円の会社員で、あと10年で定年となります。

「Aさんは50代の会社員、年収600万円で専業主婦の妻がいます。同居している息子は20代で現在はフリーター、月により変動がありますが今の月収は10万円ほどだそうです。あと10年で定年予定ですが、息子を扶養に入れたほうがいいのか」とのご相談です。

「扶養親族」の定義を確認しておきましょう。

所得がある納税者のもとで生計をともにする親族のことで、血がつながっている血族の場合は6親等までです。具体的には親、兄弟姉妹、叔父叔母、いとこ、子ども、孫、甥姪まで、婚姻によって親族になった姻族ならば3親等内なので、配偶者の親、祖父母、曾祖父母、兄妹や甥姪までの範囲となります。

ただし

・生活を同じくする親族であること

・年間所得が48万円以下であること

・納税者が個人事業主で、親族がその事業を手伝っている場合、経費となる事業専従者になっていないこと

という条件があります。

ご相談者のご子息は、

月収が10万円×12=120万円、

それ以外に収入がない、と仮定すると

120万円-55万円(所得税控除)>48万円

となりますので、計算上は扶養親族に入れることはできません。

しかし「月収10万円ほど」ということですので、正確な給与収入を源泉徴収票で確認して、48万円以下であれば(源泉徴収票の金額が103万円以下であれば)年齢は関係ありません。扶養親族に入れることによって、ご相談者の納税額を抑えることが可能となります。

ご相談者は、「10年先に定年を迎えるので」ということですが、ズバリ、10年先に、税制がどのようになっているかも、ご相談者がどのようなセカンドライフを歩んでいるのかもわかりませんので、「今、ご相談者にとってメリットとなる利用できる制度を使う」ことだけ考えればいいと思います。

あえて、10年後の状況を2つ想定してみましょう。

1.再雇用制度を利用したり、事業を始めたりして、年収300万円(現在の50%)程度の仕事をしている。ご子息はフリーター。

2.完全リタイア、あるいは収入がない状態。ご子息はフリーター。

1のケースで給与収入のみで、年収300万円、あるいは起業して年収がある場合は、上記のように年収103万円以下のフリーターのご子息を扶養親族とすることによって扶養控除による納税額抑制になります。さらに、ご相談者の所得は健康保険料の計算の基礎にもなりますので、所得が抑えられれば健康保険料負担も抑えられます。

2のケースの場合は、控除する所得がないので、扶養家族としても税法上のメリットはないということになります。

ただ、税制については毎年微妙な変更がありますので、特に扶養親族に入れたいと考えるご子息の年収などボーダーラインの場合は、源泉徴収票で確認する必要があります。

その時の状況で適切な選択ができるよう、税制度などの情報をしっかりキャッチしておきましょう。

執筆者:柴沼直美

CFP(R)認定者