【産業廃棄物税】制度の課題検証を(7月13日)

AI要約

県産業廃棄物税の課税期間が2025(令和7)年度末に終了する。継続の必要性を検証し、課税対象の公平性も含めた議論が求められている。

産廃税は循環型社会の形成を目指しており、税収は廃棄物の発生抑制や再生利用などの施策に充てられてきた。しかし、基金残高が減少し、事業費の圧縮が喫緊の課題となっている。

最終処分量の減少や公平性の問題など、産廃税に関わるさまざまな課題が存在する。持続可能な循環型社会を目指す中で、今後の税制改革が求められている。

 県産業廃棄物税の課税期間が2025(令和7)年度末に終了するのを受け、県は継続に向けて手続きを進めている。産廃税は県民の生活環境の向上に欠かせない重要な財源としているが、納税者の負担で成り立っているのも事実だ。継続ありきではなく、制度の課題をしっかり検証し、議論を尽くす必要がある。

 産廃税は、産業廃棄物の排出を抑制し、循環型社会を形成するのが目的で、税金を用いて廃棄物の発生抑制や再生利用、減量化などの施策を展開している。2006(平成18)年4月に施行され、これまで3回にわたり適用期間が5年ずつ延長された。

 県内の最終処分場に搬入する排出事業者や中間処分業者が1トン当たり千円を支払う。2023年度の税収額は4億5千万円に上り、監視員やカメラを配置しての不法投棄防止、リサイクルの推進、ごみ問題に対する県民の意識啓発など計31事業の経費に充ててきた。

 しかし、実際には充当額が税収額を上回り、近年は基金を取り崩して対応している。廃棄物の再利用などが進み、税収は減少する半面、事業規模は拡大してきた経緯がある。基金残高は今年度末に3億円を割る見込みで、数年後に使い切る可能性が出ている。産廃税が継続されたとしても、厳しい運用を迫られるのは明らかで、事業費の圧縮は喫緊の課題と言える。

 現制度では、特定の事業者が課税対象から外れ、公平性に欠けるとの指摘もある。家庭ごみなどの一般廃棄物と一緒に焼却している自治体の施設利用者は、産業廃棄物の最終処分量を明確に把握するのが困難として、納税を免除されている。廃棄物を区分するのに膨大な手間と経費がかかるとはいえ、他県には徴収している事例もある。免税の在り方も改めて検討すべきではないか。

 2022年度に排出された産業廃棄物713万トンのうち、最終処分されたのは8%の61万トンで、残りは減量化後に再生利用された。県は持続可能な循環型社会を実現するには、産廃税の継続が欠かせないとの考えだ。税金に頼らざるを得ない事情は理解できるが、究極の目標として、廃棄物の処分も、これにかかる税もやがて消えてゆく社会を築き上げたい。(角田守良)