あまおう人気に「王国の意地」…「おとめ」に代わり「あいか」が台頭

AI要約

日本はイチゴ大国であり、和洋様々なイチゴのスイーツが楽しめる。新品種の開発や栽培法の革新が進んでいる。

栃木県は55年連続でイチゴの収穫量日本一であり、新品種「とちあいか」が主力となっている。国内のイチゴ品種は世界の半数を占める。

イチゴのブランド化が進んでおり、各地で個性豊かな品種が誕生している。各産地のブランド戦略が重要となっている。

 [New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「イチゴ大国」。

 日本は、和洋様々なイチゴのスイーツがあり、生食での消費量は世界一とされる“イチゴ大国”だ。ユニークな新品種が各地で誕生し、栽培法にも革新が起きている。

 55年連続でイチゴの収穫量日本一を誇る栃木県。長年「とちおとめ」が主力品種だったが、2024年産から「とちあいか」に切り替わった。県のいちご研究所が開発した新品種で、甘みが増し、縦に切ると「☆」形に見えるのが特徴だ。

 県内のみで生産しており、作付面積は全体の6割近くに上る。福岡産「あまおう」が高級品種として首都圏でも人気を集める中、同研究所の三井俊宏さん(52)は「王国の意地を見せたい」と力を込める。

 農林水産省によると、国内のイチゴの品種登録数は310種(6月末現在)。世界の品種の半数を占めるともされる。

 国産の品種開発の始まりは明治時代。1900年(明治33年)頃、東京・新宿御苑の農学博士、福羽逸人(ふくばはやと)がフランス産を品種改良し、国産第1号の「福羽」を開発した。当初は皇室用で門外不出だったが、大正時代には促成栽培用の高級品種として全国に広まった。

 その後「福羽」などをルーツに様々な品種が生まれ、“革命”が起きたのが80年代。栃木生まれの「女峰(にょほう)」、福岡生まれの「とよのか」は、従来の酸味が強いイチゴに比べ糖度が増し、人気は全国区に。年明け~春だった出荷時期も、促成栽培技術の向上により、11月から可能となり、クリスマスにイチゴのショートケーキを食べる習慣が定着した。

 2000年代からは、栃木、福岡の2大産地以外でも「ご当地ブランド」の開発が白熱。様々な品種の交配や突然変異により、淡く白いものや果肉の中まで赤いものなど、個性あふれる品種が各地で生まれ、今や群雄割拠の様相を呈している。

 イチゴのブランド化に詳しい東京農業大の半杭(はんぐい)真一教授(農業経済学)は、「イチゴは品種改良しやすく、値段も安定しているので新規参入しやすい」と説明。「生き残りには、各産地のブランド戦略が試される」とみる。