ホンダの「新コンパクトミニバン」公道での印象は? 新型「フリード」の走りは“本気”を感じる! ふたつの個性「エアー」と「クロスター」の違いとは?

AI要約

新型「フリード」はコンパクトミニバンで、走りのしっかり感や快適性が特筆される。

ハイブリッド車もピュアエンジン車も優れた走行性能を持ち、どちらも好印象。

ピュアエンジン車は軽快感があり、質の高いハンドリングを提供している。

ホンダの「新コンパクトミニバン」公道での印象は? 新型「フリード」の走りは“本気”を感じる! ふたつの個性「エアー」と「クロスター」の違いとは?

 ホンダの新しいコンパクトミニバン「フリード」を、都市高速や市街地など公道で試乗しました。

 3世代目となる新型「フリード」には、従来モデルと同様、ハイブリッドとピュアエンジン車というふたつのパワートレインが用意されています。

 注目されがちなのは、システムを全面刷新したハイブリッドの方ですが、それぞれ試乗した上で抱いた率直な印象は「ハイブリッドはもちろんいい。けれど、ピュアエンジン車も想像以上にいい」というものでした。

 ハイブリッド仕様とピュアエンジン車それぞれの美点をお伝えする前に、まずは新型「フリード」の全モデルに共通する特徴をお伝えしておきましょう。それはズバリ“走りがしっかりしている”ということです。

「フリード」というモデルはコンパクトミニバンであり、走行性能よりもユーティリティを重視したキャラクターです。

 同様のカテゴリーに属すライバル車の中には、走りの妥協点があまり高くないモデルがあることも事実です。ユーティリティや価格など、走行性能よりも重視されがちなことが多いカテゴリーだけに、それも当然といえば当然でしょう。

 しかし新型「フリード」の開発陣は、走りに関しても頑張ったようです。走り出してすぐに感じるのが、背の高いコンパクトカーにありがちな“フラフラした挙動”が全く出ないこと。高速道路でも落ち着いていて、ビシッとまっすぐ走ってくれるのが好印象です。

 また、小さくて背の高いモデルでは不利となるハンドリングフィールも反応に遅れがなく、その上、乗り心地だって良好です。「本気でつくり込んできたな」と強く実感します。

 思い返せば、ホンダのコンパクトカーは以前からこういった傾向にありました。

 例えば歴代の「フィット」は、キビキビと軽快に曲がってくれるのに、高速道路では小さなクルマとは思えないビシッと走りに安定感があります。まるでドイツ車のように、ビシッと芯が通っている感覚です。

 そんな骨太な印象が、新型「フリード」にもしっかり継承されているのです。しかも、従来のホンダ製コンパクトカーよりも、一段とブラッシュアップされた印象です。

 新型「フリード」の基本設計は、2016年夏に誕生した先代モデルの改良版です。とはいえ、古さを感じることは一切なく、逆に8年分の熟成ぶりが特筆すべきレベルにあることに驚かされます。なかでもサスペンションの完成度は、本当にスゴいなと感じます。

●軽快感という美点も備わるピュアエンジン車

 今回、そんな新型「フリード」のハイブリッド仕様とピュアエンジン車に試乗。最初にドライブしたハイブリッド仕様はモーターアシストの恩恵もあり、動力性能的にも快適面でも申し分ない出来栄えでした。

 そこからピュアエンジン車に乗り換えたのですが、モーターアシストのメリットがなくなった分、その乗り味は“格落ち感”が否めなかったのも事実です。それは当然の話でしょう。

 とはいえ、ピュアエンジン車の走りも意外に好印象だったのも事実です。

 例えば加速フィール。エンジンだけでの走行となるため、騒音的に振動的にも不快感を覚えるのでは? と想像していたのですが、実際はそんなことは一切なし。

 もちろん、ハイブリッドのようにスムーズで静か、とはいきませんが、「ピュアエンジン車も結構やるじゃん!」という印象です。

 今回の試乗コース内には、低い速度で駆け上がる急坂もありました。小排気量エンジンかつ、コンパクトカーとしては重い車体の新型「フリード」だけに、「頑張っている感が強いのでは?」と思っていたら、思いのほかエンジンも騒がしくなることはなく、涼しい顔をしてスルスルと上っていくのです。

 また、トランスミッションはCVTなのですが、ひと昔前のCVTといえば加速時のアクセル操作に対する反応が鈍く、フィーリングもイマイチだったのに対し、新型「フリード」のそれは悪癖がかなり薄まり、ドライバビリティも上々です。「これならハイブリッドじゃなくてもアリなのでは?」と素直に思います。

 新型「フリード」はコンパクトミニバンだけに、「乗り味のよし悪しは関係ないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、それは違います。

 例えば、週末のドライブなどで峠道やバイパス、高速道路などを使う場合、ビシッと走りが安定したクルマだと疲れません。また、ドライブしていて地に足がついた感覚ゆえの安心感も得られます。そういった部分が知らず知らずのうちに「運転しやすいクルマ」という評価につながっていくのです。

 その上で、ピュアエンジン車には軽快感という美点もあります。

 車両重量がハイブリッド仕様と比べて約100kg軽いこともあり、スイスイと爽快に曲がっていきます。

 その印象を開発者にぶつけてみたところ、単に車両重量が異なるだけでなく、「サスペンションのセッティングも、ピュアエンジン車の方が軽快なハンドリングをねらっている」とのことでした。