インフレでお金の価値が下がってもどこ吹く風…お金持ちがダメージを受けない理由

AI要約

デフレからインフレへと変化する中、お金の価値が下がる仕組みについて解説。

インフレとデフレの意味や、インフレが起こる背景などについて紹介。

給料が上がらず物価だけが上昇する現状に対し、お金を賢く運用することで影響を受けずに豊かな生活を続ける方法を紹介。

インフレでお金の価値が下がってもどこ吹く風…お金持ちがダメージを受けない理由

長く続いていたデフレから脱しインフレへと変化している昨今ですが、物価は上がっているのにお給料は上がらないのはなぜ? と疑問に思っている人も多いのでは? 株式会社シナジーブレインの代表取締役である安田修氏による著書『中学3年生の息子に贈る、学校では教わらない「お金の真実」』(Gakken)から一部抜粋して、お金の仕組みについて解説します。

お金に関して、大切なことを一つ伝えよう。それは「お金は、長く持っていると少しずつ価値が下がる」ということ。

これについては、まず「インフレ」「デフレ」という言葉の意味を伝えないといけない。どちらもよくニュースで見て、何となくわかるようなわからないような、不思議な感覚になる言葉だね。

まずはインフレ。これはインフレーションの略で、「世の中のモノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇すること」。デフレはその反対で、価格が継続して下がること。これからの人生、わからない言葉があったら辞書を引くこと。とりあえずスマホでググるだけでもよい。AIに聞いてもまあ概ね、大丈夫だろう。

今まで何十年もの間、世界的にデフレが続いていたんだ。だから僕は、大人になってから物価が下がることしか経験してこなかった。パソコンもスマホも車も、待てば待つだけ安くなった。こういうときは、お金を現実でもっていてもよいし、銀行に預けても損はしない。景気が悪かったら株式や不動産の価値もそれほど上がらないから、別にどんな形で持っていても構わないわけ。

でもその世界の「ルール」みたいなものが、ここ数年で大きく変わった。完全にインフレの時代に突入したんだ。ママがよく「食費が高くなった」とか、嘆いているだろう。あれが物価の上昇だ。これにはいくつかの原因があるんだけど、ごく単純にいうとお金を大量に印刷した結果として、お金の価値が下がっているということ。

モノの価格というのは「需要と供給」で決まる。それがほしいという人が多ければ価値が上がるし、いらないと思われたら価値は下がる。手に入りにくいものは価値が上がり、たくさんあるものは価値が下がる。自由にモノを売り買いできる市場(いちば)があって、たかくても買いたいという人が多ければ価値が上がるし、誰も買いたがらないものは安くなる。安ければ買ってもよいという人が現れるからね。このように、あらゆる価格は売り手と買い手の網引き、市場(マーケット)で決まる。

だからお金の量が増えれば、お金の価値は下がるんだ。ほしがる人の数が同じでも、供給が増えると手に入りやすくなるからね。物価が上がるということと、お金の価値が下がるということは同じ意味だ。だからお金の価値が下がるということは、インフレということになる。

少し前まで世界中で景気が悪くて、景気をよくしようと思ってお金を印刷しまくった。刷っても刷ってもなかなか景気はよくならないから、もっと大量に刷った。そうしたら、ちょっと時間差があって物価が急激に上がり始めた。

「そんなバカなわけがない」って思うでしょ? 嘘みたいだけど、本当の話だ。まあちょっと単純にしすぎているかもしれないけど、大きな構造としてはそういうことが起こっている。

普通はインフレが起こるのは、世の中の景気がよいときとされている。物価が上がっても、それ以上に給料が上がれば経済全体はうまく回るし、みんな幸せになるだろうと。資本主義というのは、そんな楽観的な考えで運営されているんだ。結構、危うい仕組みなんだよ。

ところが今回は、経済がよくなっているというよりは、お金をたくさん刷ったことの影響が大きいから、そこまでうまいくかは疑問。物価だけが上がって、給料はそれほど上がらない、つまりみんなの生活が苦しくなるかもしれないな。

お金の知識がある人は、そんなことが起こっても今までと変わらない、豊かな生活をし続けられる。インフレになると現金や銀行に預けたお金(預金)の価値は減るけれど、株や不動産、ビジネスといった資産にお金を換えておけば、モノの値段が上がるとそれらの価値も上がるから、価値が減ることはない。余計な苦しみを感じなくて済むんだ。

どうだろう。お金のことを学ぶ価値が、少しは伝わったかな?