「これは悲しい」「残念だ」。サイゼリヤ、増収増益の好決算も優待を「突如廃止」。しかし、私が強く支持する理由。

AI要約

サイゼリヤが7月10日に株主優待廃止を発表し、SNSで賛否が分かれた。

同社は株主優待廃止を正当化し、配当による利益還元を重視する方針を示した。増配も発表されたが、一部の株主からは批判が寄せられている。

株価の動向や業績に関しては中長期的な視点が求められるが、株主優待の廃止に対する激しい反応は必要ないとの意見も存在する。

「これは悲しい」「残念だ」。サイゼリヤ、増収増益の好決算も優待を「突如廃止」。しかし、私が強く支持する理由。

 サイゼリヤが7月10日に株主優待廃止を発表した。SNSでは賛否が表明された。

 なお、結論から述べれば、当稿はサイゼリヤの株主優待廃止を賛成するものだ。私はかねて株主優待を批判的に見ていたので、同社の決定は正しいと考える。

■現行の優待制度の内容

 ところで、同社の株主優待の内容は次のとおりだった。細かな条件を抜きに説明する。

・100株以上を保有する株主に『食事券』2000円分

・500株以上を保有する株主に『食事券』1万円分

・1000株以上を保有する株主に『食事券』2万円分

 これを実施済の昨年をもって廃止とするとした。だから、短期的な食事券の取得を狙っている層からすれば衝撃的だっただろうし、落胆を招いただろう。

 同社の発表によると、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、慎重に協議した結果、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました。今後も(中略)企業価値の向上に取り組んでまいります」とした。このアナウンスは株主観点からしても正しいといえる。これは後述する。

【画像】国内店舗数はここ数年横ばいだったサイゼリヤ。優待廃止で株価はやや低下も、アジア事業に支えられて業績は堅調(3枚)

 なお、同社は同時に「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」も発表している。「直近の業績動向や財政状態、将来の事業展開等を総合的に勘案した結果、1株当たりの配当金を7円増配し、25円に修正することといたしました」として、前回発表予想の18円から今回修正として25円と増配を発表した。

 しかし、この増配幅では、持ち株数によっては利益率としては食事券が有利だと判断したため、SNSでは批判コメントが多く見られた。

 実際に、株価が下落したとする報道もあった。ただし、原稿の執筆時点(2024年7月11日)ではふたたび回復しており、中長期的に確認しなければならないだろう。一部、株主優待の廃止にたいして激怒している株主もいるようだが、激怒する必要はない、というのが私の考えだ。

■サイゼリヤの業績