「モモタロウ ジーンズ」京都の町家に新店舗 グルーバル化を加速

AI要約

デニム製造販売のジャパンブルーは、モモタロウ ジーンズの新店舗を京都・祇園にオープンし、ブランドをリニューアルすることを発表。

新店舗は歴史のある町家を改装した築80年の建物で、伝統技術とものづくりの魂を大切にした内装となっている。

モモタロウ ジーンズは海外展開も進め、売上も順調に伸びており、グローカルや職人の手仕事が重視される中でブランドの魅力をさらに向上させる取り組みを行っている。

「モモタロウ ジーンズ」京都の町家に新店舗 グルーバル化を加速

デニム製造販売のジャパンブルー(岡山県倉敷市、鈴木完尚社長)は、「モモタロウ ジーンズ(MOMOTARO JEANS)」の新店舗を京都・祇園の新門前通に13日オープンする。同店の出店を機にブランドを刷新する。新たなブランドサイトを立ち上げ、ECサイトでも店舗と同等の体験を提供し、国内外にブランドの魅力を発信していく。

11日に新店舗を関係者に公開した。祇園の中でも骨董店や古美術商が集まる通りに出店。築80年の歴史を持つ町家を改装した建物で、隣にはロンドンのビスポーク靴専門店「ジョンロブ」がある。伝統技術やものづくりの魂を大切し、未来に継承することを目指すブランドにはふさわしい立地だ。

内装を手掛けたASの品川雅俊氏は「歴史のあるこの町家とジーンズ工場に共通する飾らない美しさを引き継ぎ、古い素材を生かしながら新たな素材をていねいに重ね合わせた。古い土壁や柱梁をなるべくそのまま生かし、無機的なアクリルの照明や天板にアルミのキャスト板を使った什器を配置した」と説明する。坪庭には瀬戸内海の空気を象徴するソテツを植え込み、試着室には坪庭を介して自然光が入る作りになっている。2階には裾上げのための旧式ミシンを配置。「自然光のもとでのフィッティングと、裾上げのミシンの心地いい音。この一連の体験を楽しめる店にした」という。

海外で認知を広げる岡山発ジーンズ

「モモタロウ ジーンズ」は、ジーンズの産地である岡山県の児島地区で2006年に誕生。深い藍色と独特な風合いを持ち、経年変化によって味わいが増す「特濃(トクノウブルー)」を一番の特徴としている。現在、直営店は児島味野本店、岡山店、大阪店、青山店、高円寺店の5店舗で京都店は6店舗目。海外では欧米、東アジア、東南アジアなど世界26カ所の国と地域で展開し、小売売上高に占める外国人客の比率は4割にのぼる。

売上高も21年以降順調に伸びている。24年8月期は前年比15%増の16億円になる見通し。とりわけ訪日外国人客に支持され、店舗売上が大きく伸長した。鈴木社長は「海外での卸と越境ECも伸びているのは、海外の人が『モモタロウ ジーンズ』を認め、指名買いしているから」と話す。ただ「ECチャネルも小売りもまだやりきれていない要素が多すぎる」とし、ブランド刷新に着手した。背景には、ラグジュアリーの概念が近年変容し、グローカルが注目されていること、物的価値よりも職人の手仕事や時間の価値が重視されるようになってきたこともあるという。