ニトリはなぜ「就職ランキング」で1位なのか 見落としてはいけない“会社の数字”

AI要約

マイナビと日本経済新聞社が実施した「就職企業人気ランキング(2025年版)」を通じて、文系総合で1位に輝いたニトリホールディングスについて解説しました。給与や業態、従業員数などを比較しながら、ランキング上位の企業を探っていきます。

ニトリの高い平均給与や独自の経営スタイルなどが評価され、就職ランキングでの1位を支持していることが分かります。

他の就職ランキングや企業の動向との比較を通じて、将来性や魅力の分析が重要であることを指摘しています。

ニトリはなぜ「就職ランキング」で1位なのか 見落としてはいけない“会社の数字”

 マイナビと日本経済新聞社が実施した「就職企業人気ランキング(2025年版)」の文系総合を見ると、「ニトリホールディングス」(以下、ニトリ)が2年連続で1位となりました。

 SNSや転職サイトなどを通じて、すでに働かれている人の声が可視化される時代になりました。ただ、主観であったり基準が統一されていなかったりするので、それだけで判断することは危険です。

 就職ランキングはこれから働く側の意見で、重要なのは今後の企業動向です。企業のこれまでと今後どのように成長していくのか読み解くことも重要です。

 そもそもニトリはなぜ就職ランキングで1位になったのでしょうか。「有価証券報告書」と「統合報告書」を読み解くことで、その理由を探ってみました。

 まずは給与から見てみましょう。業種によってバラツキがありますので、今回は「小売り」に絞って比較したいと思います。会社によって決算期に違いがあるので、前期末という条件にするとズレが出てしまいますが、そこはご容赦いただきます。

 有価証券報告書によると、ニトリの年間平均給与は780万円(2023年3月期)で、上場企業の同638万円(2022年度決算)よりも100万円以上高いことが分かりました。

 同社は生産から物流、小売りまで自社で手掛ける「SPA」という業態と言えます。もともとSPAといえばアパレル業界で使われた言葉で、日本での代表格はユニクロなどを展開するファーストリテイリング(以下、ファストリ)です。それが他の業種でも使われるようになり、ニトリ以外には無印良品やJINSなどがその例として挙げられます。

 報告書で開示されている年間平均給与を見る場合、注意が必要です。ホールディングスカンパニーのような場合、組織を統括するメンバーが多く在籍していることが考えられ、平均給与が高く出てしまうことがあるので、単純に比較してはいけません。

 従業員数を見ると、ニトリは972人(1万8909人)、ファストリは1707人(5万9871人)、JINSは69人(3486人)、良品計画は2874人(1万74人)でした(カッコ内は連結の人数)。JINSは人数が少ないので比較からは外し、良品計画については転職サイトなどの情報を推察して、分析したいと思います。

 2023年の平均給与が最も高かったのはファストリで、1148万円でした。2022年はニトリよりも123万円上回っていましたが、2023年は一気に361万円も差をつけています。報道にもあったように、グローバルで活躍できる人材を採用するために、給与水準を変えたことが大きく寄与しているのでしょう。

 次に良品計画です。こちらは給与水準が他の2社と比較して低く、上場企業の平均レベルの620万円です。ニトリとファストリが持株会社の平均給与であるのに対し、良品計画は本社機能(935人)と国内事業(1939人)を合わせた数字になります。

 転職サイトなどの情報を見ると、3社の平均給与が大きく変わるのは役職が影響していることが考えられます。1~5年目は400万~600万円ですが、店長クラスになると600万~1000万円と会社によって差が出てきます。店長を統括するレベルは800万~2000万円とかなりの差が出てきます。