とにかく明るきゃ安全……ってのはちょっと違う! イギリスで最近のクルマのヘッドライトが眩しすぎることに政府が対応を検討
英国政府が対向車のヘッドライトの眩しさに対処するための対策を検討する構えであることが報じられた。
RACの調査では、対向車のヘッドライトが眩しいと感じる人が89%もいることが明らかになった。
オートハイビーム機能の導入やヘッドライト調整技術の進歩が、眩しいヘッドライト問題の緩和に貢献する可能性がある。
対向車のヘッドライトが眩しすぎて、運転中に危険を感じることがある。そうした声に対して、英国政府は対応策を検討する構えだということを、欧州のメディア各社が4月上旬、一斉に報じた。
これは、英国の自動車関連組織であるRAC(王室自動車クラブ)が2000人を対象としたモニター調査を行った結果を受けて、英国運輸省(Department for Transportation:DfT)が国としての正式な調査に乗り出すというものだ。
RACの調査では、アンケートに答えた人の89%が、対向車のヘッドライトが眩しいと答えているのだ。
こうした指摘をどう見ればいいのか? 大きくふたつの見方があるだろう。
ひとつは、国連の規定により2027年9月に英国でも義務化される、積載量や加減速時に作動するオートマチック・ヘッドライト・レベリングが普及することで、一定の効果があるかどうかという点だ。
もうひとつは、日本でいうところのオートハイビーム機能のさらなる導入が考えられる点である。日本では高級車のみならず、最近は軽自動車でも標準装備されることが増えているオートハイビーム。ハイビームで走行していて、対向車がいる場合など、自動的にロービームに切り替えるものだ。
英国でもオートハイビームの普及がさらに進めば、ヘッドライトが眩しいという市場の声はある程度、沈静化するのかもしれない。
ただし、オートハイビームの効果は万能ではない。
日本ではJAF(日本自動車連盟)が各メーカーのクルマを使った実験を行い、その結果を公開している。それによれば、クルマによって対向車やその周辺の状況を把握する時間に多少の差があり、ロービームになるタイミングが遅い場合もあるようだ。そのため、JAFではドライバーはオートハイビームに頼りっきりになるのではなく、状況に応じて手動でハイビームとロービームを切り替える必要があると結論づけている。
なお、同試験は2019年1月に実施されており、その後に各メーカーのオートハイビーム機構は新技術によって改善されている。ロービームになっても照射する場所を最適化することで運転中の十分な視界を確保できる機能が充実していることはよく知られている。
いずれにしても、ひと昔前と比べるとクルマのヘッドライトはLEDの普及によって格段に明るくなったのは事実だ。最近、1980~90年代のさまざまな旧車に乗る機会があったが、ヘッドライトの明るさについて最近のクルマとの差を痛感したところだ。
今回の英国運輸省での調査は、あくまでも英国内での話である。だが、その結果が欧州の自動車アセスメントであるユーロNCAPに何らかの影響を及ぼした場合、日本でのJNCAPでもヘッドライトの眩しさに対する改善策が講じられることもあり得るのではないだろうか。