【死後の手続きカレンダー】多忙すぎる「死後1週間」 スムーズに進めるポイントは「死亡診断書のコピーを取る」「死亡届を早めに出す」

AI要約

夫婦どちらかが先に逝った時、遺された側が直面する死後の手続きには、様々な作業が含まれる。

円広志さんの経験から、死後の手続きには準備が必要であり、家族や専門家の協力が重要である。

死後の1週間は書類の提出や葬儀で忙しく、手続きを早めに始めることが大切だ。

【死後の手続きカレンダー】多忙すぎる「死後1週間」 スムーズに進めるポイントは「死亡診断書のコピーを取る」「死亡届を早めに出す」

 夫婦どちらかが先に逝った時、遺された側がまず直面するのが押し寄せる「死後の手続き」である。解約するもの、申請するもの、そして相続の準備……喪失感のなか行なうにはあまりに膨大な作業だ。コロナが明けて様式の変わった点も多く、時代に合った手順が求められている。死後の流れを網羅した最新の「手続きカレンダー」をもとに、今から夫婦で話し合い、「その時」にひとりで済ませられるよう備えておきたい。

「妻を亡くしてちょうど1年が経ちますが、半年くらいは様々な手続きに追われて悲しみに浸る暇もありませんでした」

 そう語るのは歌手でタレントの円広志さん(70)。昨年7月、高校時代から連れ添った妻(享年69)を乳がんで亡くした。

「闘病生活が続き余命宣告を受けていたので、ある程度の身辺整理はしてくれていました。それでも死後、長いこと使っておらず残高も少ない預金通帳がたくさん出てきて、解約手続きに奔走しましたね。他にも彼女の遺産を相続する手続きや保険金の請求、クレジットカードの解約といった手続きを仕事の合間に済ませていきました」

 そう話す円さんは口座の解約のために相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などの必要書類を集め、窓口に赴いたという。

 所属事務所のマネージャーや関係のある会計士が手伝ってくれたが、「何の準備もせずにすべてをひとりでやれと言われたら、とても無理でした」と振り返る。

 司法書士法人東京さくら代表で司法書士の三浦美樹氏が言う。

「死後の手続きは家族が亡くなった直後から期限が区切られ、なかには怠ると罰則があるものも。愛する家族が亡くなり、悲嘆に暮れているなかで、ゼロから膨大な手続きに向き合うのは現実的ではない。今のうちに手続きに必要な書類や提出場所、期日を把握しておくことが大切です」

「死後の手続きカレンダー」を参照しながら見ていく。

 死後1週間は書類の提出や葬儀で多忙を極める。

 死亡を確認した医師が交付する死亡診断書を入手し、一対になっている死亡届に必要事項を記入して市区町村役場に提出する。

 ポイントは、「死亡診断書のコピーを取ること」「死亡届を早めに出す」ことだ。司法書士行政書士MY法務事務所代表で司法書士の村田洋介氏が言う。

「死亡診断書はその後の手続きで使う場面が多いので10枚ぐらいはコピーを取っておきましょう。死亡届は提出後の1~2週間ほどで戸籍に死亡が反映されて除籍されます。死亡届の提出が遅れると後の手続きに影響しますので、できるだけ早く提出したい」

 死亡診断書の発行費用は1枚5000~1万円なので、コピーを忘れないようにしたい。死亡届は理由なく死後7日以内に提出できないと5万円以下の過料が科されるので注意が必要だ。

 死亡届の提出から火葬許可の申請、火葬、埋葬許可証の入手までの手続きは葬儀社に代行してもらえる。ただし、コロナ禍以降は家族葬や直葬といった小さな葬儀が注目され、親族だけでの葬儀後に知人用にお別れ会を開催するといったケースも増えている。どのような葬儀にするかは夫婦が元気なうちに決めておきたい。

※週刊ポスト2024年7月19・26日号