【資料付】過熱する「EV貿易戦争」、それなのに欧米メーカーは中国企業に歩み寄り?

AI要約

世界のEV市場が低迷する中、中国企業が欧米進出を加速し、存在感を高めている。一方、欧米メーカーは中国メーカーとの関係を深めようとする動きが見られる。

2024年4月には世界のPEV販売台数が25%増の120万台に達した。BEVが市場シェアの65%を占め、PHEVも急成長しているが、これは主に中国市場の影響である。

4月には米国でEV登録台数が14%増加したが、Teslaの台数は減少し、EVセグメントにおけるシェアが低下。自動車メーカーは生産調整や在庫処分のために一時的な取引を行っている。

【資料付】過熱する「EV貿易戦争」、それなのに欧米メーカーは中国企業に歩み寄り?

 世界のEV販売が低迷していると言われる中、中国企業が欧米進出を加速させ、存在感はより一層高まっている。一方、欧米では中国製自動車への関税を検討するなど自国市場からの締め出しをもくろむ半面、欧米メーカーは中国メーカーとの関係を深めようとする動きも見せる。今回、名古屋大学 客員教授 野辺 継男氏が自動車業界の関係各者向けにまとめたレポートから重要項目を抜粋し、EV市場の動向を紹介する。6月分の報告書のタイトル全リスト(全104項目、37ページ)を無料でダウンロードできるページも用意しているので、ぜひご活用いただきたい。

■2024年4月の世界のPEV販売台数は25%増の120万台に(出典:insideEVs)

・4月に世界で新たに登録された乗用車用PEVは1,221,181台だった。市場シェアは約18%で、前年同月は16%だった。

・BEVの登録台数は、PEV登録台数全体の約65%を占め、これはほぼ80万台(前年比14%増)。PHEVの登録台数は約43万台前年比(51%増)と推定される。

・PHEVはBEVよりもはるかに速いペースで成長しているが、これは主に中国市場のおかげ。

■4月のEV登録台数、Teslaの17%減にもかかわらず米国工場のインセンティブが大幅増を牽引(出典:Automotive News)

・米国のEV登録台数は、自動車メーカーによる1万ドルを超えるインセンティブ(値引き)のおかげで、第1四半期は振るわなかったが、4月には14%増加した。

・Teslaの台数は引き続き激減し、EVセグメントにおけるシェアは前年の63.8%から4月には46.3%に低下した。4月のデータからTeslaを除くと、米国のEV登録台数は69%増加した。

・一部のアナリストによると、自動車メーカーは生産縮小に伴い、急増するEVの在庫を一掃するために一時的な取引を行っているという。GMは今月、製造計画を引き締め、今年のEV生産台数を30万台から20万台~25万台に減らすと発表した。