新車363万円の[中国EV]がさらに安く!? メリットだらけの[ブレードバッテリー]その正体とは

AI要約

中国の自動車メーカーBYDが、2023年に日本市場で販売を開始したブレードバッテリーの特徴について解説。三元系リチウムイオンバッテリーとの違いや安全性に焦点を当てる。

BYDのブレードバッテリーはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用し、低コストで高い安全性を持つ。熱安定性が高いことから熱暴走のリスクが低い。

安全性に関する実験では、釘刺し実験において、三元系リチウムイオンバッテリーが発火や爆発を示す中、BYDのブレードバッテリーは熱暴走を克服し、高い安全性を証明している。

新車363万円の[中国EV]がさらに安く!? メリットだらけの[ブレードバッテリー]その正体とは

 2023年に日本市場での販売を開始した中国の自動車メーカーBYD。元々バッテリーメーカーとしてスタートしたということもあり、その高いバッテリー性能がアピールされている。その話題の中心となっているのが「ブレードバッテリー」だ。他のBEVのバッテリーとどう異なるのか?違いを中心にBYDのブレードバッテリーの特徴を見ていこう。

 文:西川 昇吾/写真:AdobeStock・ベストカーWeb編集部

 まず大きく異なるのがバッテリーの材料だ。これまでBEVで多かったのは三元系リチウムイオンバッテリーと呼ばれるもの。これはニッケル、コバルト、マンガンの3つの元素を使用している。

 対してBYDのブレードバッテリーはリン酸鉄を使用しているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーとなっている。

 特徴として三元系リチウムイオンバッテリーの方が、エネルギー密度が高く低温時に性能が低下する傾向が低い。

 そのためBEVではコチラの方がバッテリー容量を増やすことが可能で、航続距離を長く確保できるため好まれていた。

 もちろんデメリットもある。それは希少金属のコバルトを使用するため、コストが高くなってしまうことだ。

 リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度は低く、低温時に性能が低下する傾向あるが、希少金属のコバルトを使用しないため、コスト的に安く済むとこれまで言われてきた。

 しかし、BYDは長年リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの研究開発を行い、エネルギー密度や航続距離の問題を克服しようとしてきた。

 それはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの方が安全性に優れているという理由が大きい。その理由はバッテリーの結晶構造が強固で熱安定性が高いからだ。

 つまり、BEVで問題視されているバッテリーの熱暴走や発火が起こりにくい。

 BYDが安全性をアピールしている実験として、バッテリーに直接釘を刺す「釘刺し実験」だ。

 この試験では三元系リチウムイオンバッテリーは発火や爆発をしたが、BYDのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーであるブレードバッテリーでの熱暴走は起こらなかった。

 もちろん、安全に絶対というものはないが、このような背景からBYDはブレードバッテリーの安全性が高いとしているのだ。