英企業、過去最速ペースで新規採用の給与引き上げ-中銀の懸念要因に

AI要約

英国企業が新規採用従業員の給与を急速に引き上げていることが明らかになった。

根強いインフレ圧力が存在し、イングランド銀行にとって懸念要因となっている。

政策の不確実性が和らぐ中、正社員の需要が市場に戻ってくると期待されている。

(ブルームバーグ): 英国企業は新規採用した従業員の給与を昨年10月以来最も速いペースで引き上げている。求人企業を対象とした調査で明らかになった。根強いインフレ圧力を示すもので、イングランド銀行(英中央銀行)にとって懸念要因となり得る。

英求人雇用連盟(REC)と会計事務所KPMGによると、6月の正社員の初任給は過去8カ月で最も強いペースで上昇し、派遣社員の給与も上がった。英国商工会議所(BCC)の別の調査では、景況感の改善と景気に対する懸念の減少が示された。

RECの調査で見られた賃金上昇圧力は、雇用ペースの低下および求人数の減少と重なったため、とりわけ異例だ。イングランド銀行は、利下げのタイミングを見極めるため、賃金面からの圧力を注視している。同中銀は賃金と価格によるインフレスパイラルのリスクを回避するため、政策金利を16年ぶりの高水準に据え置いている。RECは、4日の総選挙前に採用が一服していたことが、雇用鈍化の一因だとしている。

英国KPMGのジョン・ホルト最高責任者は、「総選挙による不確実性を受け、雇用主は依然として採用活動にブレーキをかけている。正社員の採用は特に大きな打撃を受けている。この需要不足は、数少ない求人をめぐる競争が、賃金上昇を後押しし続けていることを意味している」と述べた。

今回の調査結果は、労働力不足と最低賃金の引き上げが、求人数の減少にもかかわらず、賃金インフレを押し上げているという証しだ。

RECの調査ではこのほか、解雇が増えて欠員が減少したため、採用しやすさが16カ月連続で改善したことや、10業種中6業種で正社員需要が減少していることがわかった。RECのニール・カーベリー最高経営責任者(CEO)は、「政策の不確実性が和らぎ、金利が低下するにつれ、今夏は正社員の雇用が市場に戻ってくるとみられる」と述べた。

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原題:UK Job Recruiters Say Pay for Newly Hired Staff Is Still Rising(抜粋)

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