Amazon、梱包改革の第2弾 北米でプラ資材全面廃止

AI要約

アマゾンは北米の物流業務でプラスチック梱包材の使用を大幅に削減し、プラ製エアピローを95%紙製に置き換えている。さらに、2023年にはプラスチック梱包材を使わないセンターを開設する計画だ。

アマゾンは品質を損なわないよう、メーカーの商品パッケージをそのまま利用し、段ボールなどの梱包資材を削減する取り組みを行っている。また、パッケージング意思決定エンジンというAIモデルを開発し、最適な梱包手段を選定している。

持続可能なショッピング体験に取り組むアマゾンは、梱包改革だけでなく、電気自動車による配送網の拡大や再生可能エネルギーへの投資も行い、環境に配慮したビジネス展開を進めている。

 米アマゾン・ドット・コムはこのほど、北米の物流業務でプラスチック梱包材の使用を大幅に削減したと発表した。すでにエアピロー(梱包緩衝材)の95%を紙製に置き換えている。今後完全撤廃を目指すという。

■ 緩衝材をプラ製から100%再生紙に

 これは、北米のフルフィルメントセンター(発送センター)からプラスチック製梱包材の使用を段階的に減らすという複数年計画の一環である。北米では今後、年間ベースで約150億個のプラ製エアピローを削減するとしている。

 アマゾンは2023年10月、同社として初の、プラスチック梱包材を使わないフルフィルメントセンターを米オハイオ州に開設した。この取り組みでは、プラ製エアピローから紙製緩衝材への移行を進めた。サプライヤーと協力し100%再生紙の緩衝材を調達し、フルフィルメントセンター数百カ所の移行作業を調整した。

 アマゾンによれば、導入した紙製緩衝材はプラ製エアピローと同等以上の商品保護性能を持つ。加えて、家庭用リサイクル回収に対応している。このため顧客は梱包材を回収センターに持ち込む必要がない。アマゾンのメカトロニクス及びサステナブル・パッケージング担当副社長のパット・リンドナー氏は「顧客にとっての利便性向上と、リサイクルが容易な素材への移行という目標達成に向けてアマゾン全体で取り組んできた」と強調した。

■ 梱包改革第1弾は段ボールの削減

 アマゾンは40年までに事業活動からの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」達成を目指しており、19年に「The Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)」を立ち上げた。

 22年には、アマゾンのロゴ入り段ボール箱を使わず、メーカーの商品パッケージのままで顧客宅に届ける取り組み「Ships in Product Packaging」を始めた。

 この取り組みでは、メーカーに協力してもらい、パッケージの強度を高めている。梱包・包装資材の削減という本来の目的を損なわないよう配慮してパッケージを開発しているという。同社はパッケージの研究施設も持つ。米ワシントン州シアトル本社近くの施設では様々な商品パッケージを対象に計19種の加圧、振動、落下試験を実施している。

■ 「持続可能なショッピング体験に取り組む」

 アマゾンは「Packaging Decision Engine(パッケージング意思決定エンジン)」と呼ぶAI(人工知能)モデルも開発した。これは、商品の形状、耐久性、顧客からのフィードバックを考慮し、最適な梱包手段を決定するというものだ。アマゾンのワールドワイド・サステナビリティー担当副社長であるカラ・ハースト氏によると、15年以降、200万トン以上の梱包資材を世界で削減した。他の梱包テクノロジーとの相乗効果もあったという。

 同社はリサイクルしやすい梱包材への変更や、梱包材そのものの削減のほか、電気自動車(EV)による配送網の拡大も図っている。再生可能エネルギーやカーボンフリーエネルギーへの投資も行い、持続可能なショッピング体験に取り組むとしている。