超長期金利の上昇警戒顕著、発行減少でも過剰感-日銀買い入れ減額も

AI要約

日本の超長期国債利回りの上昇リスクが高まっている。政府は超長期債の供給を減らし、短期債の発行を増やす方針。日銀の買い入れ減額と金利上昇による市場の懸念が高まっている。

(ブルームバーグ): 発行額が減少しても、市場が吸収するには依然として過大だとの見方から日本の超長期国債利回りの上昇(価格は下落)リスクが高まっている。

30年債利回りは2010年以来の高水準に達するなど、金利の上昇基調が強まる市場を落ち着かせようと、政府は超長期債の発行を減らし、償還期間の短い債券の発行を増やすことを検討する方針だ。ただ、為替市場で円安が止まらず、物価の持続的な上昇により金融政策のさらなる正常化期待が強いため、金利リスクの大きい超長期債の供給はこれまで以上に相場に大きな影響を及ぼす可能性がある。

国債発行の年限短期化へ、日銀減額方針で財務省検討-提言案

財務省の国債発行計画によると、24年度の超長期債の供給は30兆円近くで、長期や短中期債の発行額を下回る。しかし、市場が吸収する金利リスクは超長期債が最大になる見通しだ。

日本銀行は20年以上に及んだ超金融緩和政策を段階的に終了し、正常化に向かわせることがいかに難しいかという問題に直面している。発行残高の半分以上に膨れ上がった国債の保有を減らしたい日銀は、急激な金利の上昇が日本経済に打撃を与えることは避けつつ、緩やかな利上げがさらなる円安を招くことにも配慮する必要があるなど二律背反の目標を両立しなければならないからだ。

日本の超長期債に対する市場の懸念は30年債と10年債利回りのスプレッドに顕著に表れており、先週約122ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と22年後半以来となる水準にまで拡大した。

日銀は7月30、31日に開く金融政策決定会合で国債買い入れの縮小計画を発表する見通し。今年度の発行額を利回り1bpの上昇に対する損失額に変換し、なおかつ日銀の買い入れを考慮した額で見ると、超長期債は453億円で10年債の215億円をはるかに上回る。

日銀が国債購入を減額へ、相応の規模と植田総裁-7月利上げ排除せず

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、超長期債は供給過剰だと指摘。「今までは日銀の買い入れがアンカー(支え)となってきたが、そのアンカーが外れそうで、需給面も含め長いところを中心にイールドが上がってきている」との見方を示した。