百貨店にもスーパーにも太刀打ちできない「コンビニの牙城」に迫ったミニスーパーの驚きの戦略

AI要約

物事を効率的に進めるための方法について、物流エコノミストの鈴木邦成さんが語る。ピークとオフピークの対応に失敗し、滞りが発生している可能性に言及し、コンビニの割安商品を例に挙げている。

無意識の思い込みが効率の原因であるアンコンシャスバイアスについて説明し、タイムパフォーマンスやスケジュール管理の重要性を強調する。

ピークとオフピークの時期による滞りの影響や、滞りを解消することの重要性について具体的な例を挙げながら説明している。

効率良く物事を進めるにはどうすればいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「『忙しくて時間がない』『仕事の効率が悪い』という人は、ピークとオフピークの対応に失敗し『滞り』が発生している可能性がある。このピークとオフピークの特徴をつかみながら、コンビニのそばに割安な商品を並べて成功した好例がミニスーパーのドミナント戦略だ」という――。

 ※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■時間管理を工夫しても成果が得られないのはなぜか

 「忙しくて自分の時間がない」「仕事の効率が悪い」――こうした悩みを持つ人は少なくありません。

 しかし、そうした悩みがあっても、「それじゃあ、自分を変えられるのか」と問われれば、言葉に詰まってしまう人がほとんどではないでしょうか。

 悩んだ末に、「早起き、朝活してみよう」「効率が上がるように綿密なタイムスケジュールを作成してみよう」といった工夫をするかもしれません。けれども、それで「十分な成果が得られた」という人はごくわずかといっていいでしょう。

 ただし、うまくいかないからといって、がっかりする必要はありません。考え方を変えれば、問題の解決策が見えてくる可能性があるからです。

 私は物流の専門家として大学に籍を置く関係から、学生はもとよりビジネスピープルからも、多種多様な相談を受けます。

 本業の物流現場改善やロジスティクス戦略の相談だけではなく、就職、転職、資格試験の勉強方法、職場での時間管理や人づきあいなどの一般的な悩みを一緒に考えることもあります。

 そんな相談者を見ていると、「行動経済学などでいうところのアンコンシャスバイアスに陥ってしまっているなあ」と感じることがしばしばあります。

■無意識の思い込みが非効率の原因

 聞きなれない言葉なので、わかりやすく説明すると、アンコンシャスバイアスというのは、無意識の思い込みのことをいいます。

 「朝早く起きれば仕事の能率が上がるはず」といった実際の検証もない思い込みが最たる例で、多くの人がそうした思い込みのために自分の能力を十分に発揮できないでいるのです。

 それでは、そうした思い込み、言い換えるとバイアスをなくし、「タイパ」などと呼ばれることも多くなったタイムパフォーマンスやスケジュール管理をしっかり行える仕事術を身につけるにはどうしたらよいのでしょうか。

 その答えは「滞り」をなくすことにあります。特定の時間帯や作業に集中しようとすると、心理的、あるいは物理的に、ある種の「滞り」が発生してしまうのです。

 その負荷は想像以上に大きなものがあります。スケジュール、プラン、あるいは目的・目標の設定などがバイアスで歪(ゆが)められてしまうと、滞りの発生を防げなくなってしまいます。

 そうなると、いくら努力しても、成果は得られず徒労に終わってしまいます。

 したがって、タイパを向上させるためにまず求められるのは、時間や作業のスムーズな流れに対して悪さをする「滞り」を解消することなのです。

 その滞りを取り除いていかないと、どんなに綿密なスケジュールをつくり上げていっても、密度の濃い仕事をこなしても、なかなか成果を得ることができないのです。

■ピークとオフピークの落差が「滞り」になる

 私の専門としている「物流」は、「モノの流れ」をスムーズにすることが大きなポイントとなります。

 たとえば、お中元・お歳暮の時期などのピーク時には関連商品の取扱数量は大きく増えます。それ以外のオフピークの時期には、逆に物量が大きく減少してしまうこともあります。

 このように大きく増えたり減ったりする物量を滞りなく、あるいは流れすぎないように、うまく取り扱っていくことがきわめて必要になるのです。

 あるいは、ラッシュ時の通勤について考えてみてください。

 ラッシュ時の通勤電車には毎日うんざりしている人も多いでしょう。しかし、満員電車の状態が1日中続いているかというとそうではありません。

 ラッシュの時間帯は早朝のせいぜい1時間から2時間と夕方の帰宅の時間帯だけです。日中の電車は逆にガラガラのこともあります。

 そこで電鉄会社は「出勤時間や退社時間をずらしてほしい」と、オフピーク通勤を奨励しています。滞りを解消することで、通勤にかかる身体的・精神的な負担が軽減できるのです。

 人の行動についても同じような考え方が当てはまります。

 「忙しくて時間がない」という人は、ピーク対応に失敗している可能性があります。「仕事の効率が悪い」という人はピークとオフピークの格差が大きすぎたり、バランスが悪くなりすぎたりしている可能性があります。

 もっとも、「滞り」をなくすという理屈はわかっても、それを各自の行動に当てはめていくのにはちょっとしたテクニックも必要になります。

 そこで、現在、関わっている仕事はもちろんのこと、仕事上の人づきあい、趣味、資格取得などのキャリアアップに不可欠な勉強等々、どこに「滞り」が隠れているのかも明らかにしていきたいと思います。