「理系出身だから営業は無理」…メーカー勤務の優秀な女性が出勤できなくなったワケ

AI要約

20代の女性社員が異動に不満を持ち、病気を装って休職する様子を描いたエピソード。

女性のプライドや自己保身が原因で、上司の助言を受け入れられない様子が浮かび上がる。

休職中には恋人と旅行に行き、SNSでマリンスポーツを楽しむ姿が発覚し、問題に発展する。

「理系出身だから営業は無理」…メーカー勤務の優秀な女性が出勤できなくなったワケ

 根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち6刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

 電機メーカーに勤務する20代の女性社員は、開発部門から営業部門に異動になり、大学時代に理系の学部で学んだ専門知識を生かせなくなったことに不満を募らせた。そのため、異動から1ヵ月後に上司に「私は理系出身なので、営業部門は無理です。前の部署に戻してください」と頼んだ。しかし、「たった1ヵ月では、無理かどうかわからない。もう少し辛抱して頑張ったら、やがて慣れてくるでしょう」と言われた。翌朝、目は覚めたものの、起き上がれず出勤できなかった。その後1週間全身倦怠感や頭痛が続き、内科で検査を受けても異常が見つからなかったため、私の外来を受診した。

 この会社でも、幹部候補ほどすべての部署を経験することになっているらしい。だから、上司の助言はもっともで、営業部門の仕事に少しずつ慣れていけばいいだけの話だし、優秀な彼女ならできるだろうと私は思う。

 だが、この女性はそれを受け入れられなかったようだ。というのも、名門国立大学の出身で、それが彼女のプライドを支えているようなところがあるからだ。「自分が見下していた大学の出身者に頭を下げながら営業の仕事を教えてもらうのは嫌」と愚痴をこぼしていたので、そのことに耐えられなかったのかもしれない。

 その後、この女性は診断書を提出して休職したが、病状はなかなか改善しない。もっとも、自分の好きなことだったらできるのか、休職中に恋人と一緒に旅行に出かけ、旅先でマリンスポーツを楽しんでいる様子を撮影した写真をSNSに掲載した。それを会社の同僚が発見して上司に報告し、大問題になったらしいが、悪びれた様子はまったく見られない。それどころか、診察中も「私の病気がよくならないのは、私を飛ばした会社のせい」と不平・不満を訴え続けている。ときには、「前の部署に戻すことが治療上必要と診断書に書いてほしい」と要求することさえある。