ある日突然、同僚が「ストーカー」になったら…20代の男性社員が経験した「恐怖の一部始終」

AI要約

本記事は職場で起こる人間関係のトラブルに焦点を当て、一方的な思い込みから生じる暴走行為について詳細に解説している。

具体的な事例を交えながら、他者を見下し、自己保身に走るタイプの人間が職場にもたらす影響や問題点を浮き彫りにしている。

著者は、このような職場問題を避けるためには、職場全体での協力やコミュニケーションの向上が重要であると指摘している。

ある日突然、同僚が「ストーカー」になったら…20代の男性社員が経験した「恐怖の一部始終」

 根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち6刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

 〈職場恋愛も職場結婚も昔からあり、昭和の頃には社内の若い男女の見合いを積極的に御膳立てする世話好きな上司さえいたものだ。だから、職場で交際相手や結婚相手を探すことが一概に悪いとはいいきれない。だが、なかには、自分の一方的な恋心を募らせたあげく、相手の意思を確認せずに、「相手も自分に好意を抱いているはず」と思い込んで暴走し、ストーカーまがいの行為を繰り返す人もいる。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 〈ある製造業の会社で、20代の男性社員が「40代の女性社員が怖くて出勤できない」と上司に訴えたため、産業医が事情を聞くことになった。この男性は大学卒業後数年間別の会社に勤務した後、最近この会社に転職してきたのだが、経理事務担当の40代の女性社員に自宅まで押しかけられたという。

 この女性は独身で、高校卒業後入社してから経理事務一筋だったので、経理には社内の誰よりも精通しているらしい。そのため「経理でわからないことがあれば彼女に聞け」と上層部も言っているほどで、新人教育を担当することもあるそうだ。転職したばかりの男性に研修期間中経理事務に関することを教えたのも、この女性だった。

 男性は、この女性が懇切丁寧に教えてくれたうえ、しばしば手作りのお菓子を持ってきてくれたので、断るのも悪いと思い、遠慮せず食べたという。研修が終わって営業部に配属された後も、この女性が営業部までわざわざお菓子を持ってきてくれたことが何度もあるらしい。また、経費請求の書類を経理部まで持っていくと、この女性が必ず出てきて満面の笑みで対応し、ときにはやはりお菓子を渡してくれることもあったようだ。だから、男性としては、とても親切な先輩だと思い感謝していた。

 ところが、ある日曜日の夕方、自宅で交際相手の女性とくつろいでいたところ、インターホンが鳴ったので、玄関に出てみると、40代の女性がすごい剣幕で立っていた。そして、「あんたは私と結婚するはずだったのに、裏切ったわね。若い女と手をつないでその辺を歩いたりして、ひどい。私があんたのために作ったお菓子の材料代を返せ」と怒鳴ったという。そのうえ、一緒にいた20代の交際相手にも「あんたが私の許嫁をたぶらかしたのね。この尻軽女め」と暴言を吐いたらしい。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 一方的な思い込みから暴走……このようにして職場を壊したり人間関係の悩みを生み出したりする人に出くわしてしまった経験をもつ人もいるかもしれない。

 『職場を腐らせる人たち』では、この40代の女性について「現実認識はかなりズレているといえる」と分析する。さらに、現実認識のズレには3つの形があるという。

 (1)都合のいいように現実を歪曲

(2)「幻想的願望充足」

(3)高すぎる自己評価

 たとえば、「都合のいいように現実を歪曲」とはどういうことかというと…

 〈ストーカーは自分に都合のいいように現実を歪曲する。手作りのお菓子を渡されて、むげに断るわけにもいかないので、20代の男性は受け取り、おいしそうに食べただけなのだろうが、それを40代の女性は「自分に好意を抱いているから」とねじ曲げて解釈している。こうした曲解は、一方的に恋愛感情を抱いてつきまとうストーカーのほとんどに認められる。いくら相手から嫌がられても拒否されても、男性のストーカーなら「あの女性は恥ずかしがっているだけで、本当は僕のことが好きなのだ」、女性のストーカーなら「あの男性が私とつき合わないのは、私が高嶺の花で手が届かない存在だと思っているから」などと曲解する。そして「向こうが照れているのだから、こちらから近づいていかなければ」と考え、ストーカー行為を繰り返す。

 このような曲解は、「~だったらいいのに」という願望と現実を混同する「幻想的願望充足」によるところが大きい。「相手も自分を愛してくれたらいいのに」という願望が強すぎるあまり、「相手も自分を愛している」という幻想を抱き、それがあたかも現実であるかのように思い込む。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

 『職場を腐らせる人たち』では、なぜこうした人を変えるのが困難なのか、またこうした職場を腐らせる人たちがいる職場をどう生きればいいかについても掘り下げている。

 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。