為替介入に身構えるトレーダー、円急騰リスクを示す3つのチャート

AI要約

円相場が38年ぶりの安値に突入し、為替介入の可能性が高まる中、トレーダーはボラティリティーの急騰に備えている。

円の変動リスクにプレミアムが付いており、介入によるボラティリティーの急上昇が警戒されている。

投機筋は円安を期待しており、日本の介入が円安を抑止できる可能性は低いとされ、市場では介入の脅しが現実化するリスクがある。

(ブルームバーグ): 円相場が1ドル=160円台後半と約38年ぶりの安値圏に突入し、当局による為替介入の可能性が高まる中、トレーダーはボラティリティーの急騰に備えている。

円のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)は一時期に比べると落ち着いているように見えるが、主要9通貨と比較したスプレッドは2021年以降の平均を上回っている。為替市場で円の変動リスクを取る取引にプレミアムが付いていることを示唆している。

大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、1990年の安値160円20銭を抜けたことで、しばらく節目がなく「円安が加速しやすい」と指摘。東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、円安加速のタイミングで介入が入ると予想され、「ボラティリティーの急上昇が起こる」と警戒する。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドとアセットマネジャーは18日時点で140億ドル相当の円売りポジションを保有している。これは他の主要通貨よりも多く、円に対して弱気であることを示している。

オーストラリア・コモンウェルス銀行の為替ストラテジスト、キャロル・コン氏はリポートで、投機筋は円安に賭けており、日本の通貨当局が警告を発したところでさらなる円安を阻止できる可能性は低いと指摘。「介入という脅しが現実になるリスクがある」と記した。

神田真人財務官は26日夜、円相場が約38年ぶりの安値を記録したことを受け、「最近の為替の動きは一方向」だとし「行き過ぎた動きに対しては必要な対応を取る」と為替介入も辞さない姿勢を示した。ただ、けん制発言に対する市場の反応は一時的で、円安の進行に歯止めがかかっていない。

シティグループが算出する投資家の持ち高を推計した円のFXペイン指数は、2022年2月以来の低水準に落ち込んだ。ファンドなどアクティブトレーダーによる円の売りポジションが積み上がっていることを示している。こうしたポジションは当局による円買い介入などをきっかけに巻き戻されるリスクがある。